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第1節 

1 牛乳のBHCによる汚染

 全国各地の牛乳がBHCにより汚染されていることが厚生省の調査により昭和44年末に明らかにされた。汚染の程度は概して西日本産の牛乳が高く、また、β-BHCの含有量が多く、県別平均の最高は1.3ppmであった。これが人体に与える影響に関し、厚生省が45年4月食品衛生調査会の意見を徴した結果では、「いま直ちに人体に危険があるとは考えがたいが、この状態が長期間続くと保健上支障をきたすおそれがあり、また、牛乳が乳幼児や病人の主食であることにかんがみ、強力な措置により汚染を軽減する必要がある。」との意見が出された。
 農林省は、牛乳汚染の原因について44年末から45年初めにかけて乳牛の飼養実態調査、飼料の分析等汚染経路の緊急調査を行ない、その結果、稲の害虫防除に使用したBHCが稲わらに残留し、これを飼料としたため牛乳が汚染され、とくに稲作後期に使用した場合の汚染が大きいことが判明した。

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