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第1節 

1 悪臭の概況

 悪臭は、騒音等と同じく人の感覚を直接刺激し、不快な感じを与えるものであるので、従来から苦情、陳情件数がきわめて多い公害の1つであった(第2部第8章第2節参照)。最近の事例としては、住民投票にまで発展した山梨県塩山市の飼料工場の悪臭問題、悪臭発生源を追跡するため悪臭モニターを常置させている三重県四日市市石油コンビナート地区の悪臭問題、名古屋市北区のセロハン工場から排出されている硫化水素および二硫化炭素による悪臭問題(いわゆるセロハン公害)等がある。
 悪臭問題の発生状況の動向を保健所の類型別に苦情・陳情の受付け件数からみると、U型(都市型)の保健所においても、他の大気汚染等の苦情等を引き離して騒音・振動と悪臭がほぼ同一の件数を示している。これがUR型(中間型)、R型(農漁村型)、L型(へき地型)、S型(支所型)においては悪臭に関する苦情・陳情の受付件数が他の公害の苦情等を引き離して圧倒的に多く、UR型、R型保健所では苦情・陳情件数のほぼ半数を悪臭が占めている。すなわち都市・農漁村をとわずいかに悪臭が地域住民の問題になっているかがわかる(第2-5-1表参照)。

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