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第3節 

1 健康阻害物質による水質汚濁

 水質汚濁に係る環境基準(昭和45年4月21日閣議決定)においては、人の健康の保護に係る基準項目として、シアン、アルキル水銀、有機リン、カドミウム、鉛、クロム(6価)、ひ素および総水銀を掲げ、それぞれ基準値を定めている。
 これらの項目のうち、水銀関係については、水銀電解法か性ソーダ製造工場および塩化ビニールモノマー製造工場について、メチル水銀が44年7月1日から水質保全法等の規制対象となったが、規制対象水域につき同年行なった調査によれば、総水銀およびメチル水銀とも、おおむね、現在の環境基準「検出されないこと。」を満足していた。ただし、工場の排水口付近において環境基準を満足していない水域もあった。
 シアンについては、44年度に行なった22水域についての調査によれば、一部の水域において環境基準を若干オーバーしている地点があるほかは、環境基準の「検出されないこと。」を満足していた。なお、シアンは、本来水中にはいってすみやかに分解されるものであり、公共用水域において大量に検出されるものではない。しかし、一時に大量に投入されると、魚の大量へい死等の事件を引き起こし、45年中においても、相当の水域において、シアンによる魚のへい死事件が起こっている。
 その他の物質については、主要水域につき、45年度において調査中である。

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