1 いおう酸化物
いおう酸化物は現在の大気汚染物質の中で最も代表的なものの一つである。この汚染度の最近の傾向としては従来汚染都市の代表のように考えられていた川崎、四日市、北九州等で汚染の減少が目だち始めている(第2-1-1表参照)。たとえば川崎市の大師保健所測定点ではいおう酸化物の年平均濃度が昭和42年度0.10ppm、43年度0.07ppmおよび44年度0.06ppm、四日市の磯津測定所ではそれぞれ0.081ppm、0.052ppmおよび0.051ppm、北九州市の若松保健所ではそれぞれ0.066ppm、0.060ppmおよび0.049ppmと減少しつつある(ppmは100万分の1)。しかし一方尼崎、和歌山・海南、川口・鳩ヶ谷、宇部、大牟田、大分等はなお汚染の増加の傾向がある。これらの都市においては改善の努力がなされているにもかかわらず、工場立地および使用燃料の増加がそれにもまして多いためであり、今後、いっそうの努力が必要である。東京および大阪のような過密大都市においては数年前までのような汚染の悪化はないが、なお汚染は高レベルで推移しており、一部都心地域において改善がみられるものの、とくに郊外地域に汚染が拡大しつつあることは注目せねばならない。
全国の指定地域内のいおう酸化物連続測定点の環境基準適合状況を調べてみると44年度は213測定点のうち、130測定点(61%)が適合、82測定点(39%)が不適合であった。43年度と共通の測定点155測定点についてみれば43年度は62測定点(40%)が不適合、44年度は64測定点(41%)が不適合であり、ほぼ横ばいの傾向にある。
なお、3年連続環境基準不適合測定点を有する都市は東京、大阪等17都市である(第2-1-2表参照)。