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第6節 

2 厚生省

 厚生省は、45年度において、環境要素の解明、各種の汚染が健康や生活環境に及ぼす影響の究明、都市廃棄物等処理技術の研究・開発等を目的とする国立の公害衛生研究機関の整備に関する基本計画を策定して46年度以降、その推進を図ることとしている。
 大気汚染に関しては、とくに次のような調査研究の推進を図ることとしている。
(1) 開発整備地域等については、事前調査により気象状況を明らかにし、大気汚染予防対策の実施に資するため、44年度に引き続き、大気拡散調査や環境大気調査を行なう。
(2) 大気汚染物質のうち、いおう酸化物については、その影響の解明、とるべき対策の方向等について一応の成果を得たので、今後、調査研究の重点を浮遊ふんじん、窒素酸化物、炭化水素、オキシダント等に転換し、主としてそれらの人体に及ぼす影響や測定分析のための調査研究を進める。
(3) 大気の質を計画的に管理するため、広域汚染調査や電子計算機の利用による汚染予報のための調査研究を引き続いて行なう。
 水質汚濁については、水俣病、阿賀野川および神通川地域における公害に係る健康被害に関しての医学的研究を継続して進めるとともに、とくにカドミウム慢性中毒については、国際的な協力体制の強化を図りながら、その医学的研究を進め、早期診断による予防体制の確立に資することとしている。また、水銀やカドミウムによる環境汚染に関しては、44年度に引き続き、地球化学や生態学等の専門家チームによる研究を進め、自然界における複雑な汚染のメカニズムの解明に努めることとしている。
 その他の公害問題については航空機騒音や特殊な騒音による人体影響等の究明を進めるほか、ようやく基礎ができはじめた悪臭に関する測定分析、人体に対する影響防止対策の評価等に関する調査研究を強化する。
 このほか、国民の生活環境の保全の見地から都市や産業の廃棄物による環境汚染の防止、レクリエーションのための自然環境の保全等の施策の確立に資することをねらいとして、環境問題を総合的にとらえて、今後の自然環境汚染の推移を究明する新しい調査研究に着手することとした。

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