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第6節 

1 自衛隊の飛行場等の周辺における航空機騒音防止対策

(1) 損失補償 
 昭和28年に特損法が制定され、在日米軍の適法な特定の行為によって、農業、林業、漁業等の事業経営上に損失を及ぼした場合は、国が損失を補償することとされている。この法律により、在日米軍の航空機のひん繁な離陸、着陸の際に生ずる騒音により、農業、林業および漁業を営んでいる者が経営上の損失をこうむったときは、そのこうむる損失を補償することとし、また、自衛隊の航空機による同種の損失についても、41年に制定された防衛施設周辺整備法により補償されることとなった。また、上記特損法では学校、病院または診察所の近傍における航空機の離着陸等に生ずる騒音が著しい場合は、これによりその事業上こうむる損失を補償することとなっているが、これらの救済は、損失補償によるよりも防音工事の実施によって騒音の軽減、緩和を図ることがより適切であるので、実際上これに代えて、次に述べる防音工事を行なっている。
(2) 防音工事
 上記特損法の制定を機に、政府では、航空機による騒音の防止軽減を図るため、教育施設、病院等について個別的に行政措置により防音工事を実施してきたが、防衛施設周辺整備法が制定されるに及んでこの措置に制度的保証が与えらえることとなった。さらに同法制定後は、その対象施設の範囲も年々拡大され、現在では学校、病院のみでなく保育所、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、教護院、診療所、救護施設および特別養護老人ホームも防音工事の対象施設となっている。
(3) 特定飛行場の周辺の集団移転補償等
 自衛隊等の飛行場のうち、とくにジェット機を使用する飛行場では、滑走路延長上の進入表面等の区域において航空機の騒音や危険感が著しいので、住民の安全および障害の軽減を図るために、政府では、32年以来、閣議決定または基地問題閣僚懇談会了解による行政措置により、当該地域にある建物等の移転補償および土地の買収を実施してきた。さらに、41年に前述の防衛周辺整備法が制定されるに及んで同法により特定飛行場の周辺の移転補償等が実施されている。

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