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第1節 

1 調査の実施

 昭和44年度においては、今後の対策に資するため次の調査を行なった。
(1) 工業立地適正化等調査(騒音防止対策調査)
 騒音防止の方法は発生源対策、建築、構築物対策および配置による対策の三つに大別することができるが、前二者にについては騒音規制法あるいは従来の地方公共団体の条例によって相当の効果をあげるものと期待される。
 しかし、騒音問題については工場と住居を分離すれば、根本的に、あるいは未然に防止できるものであるが、この面で対策を進める試みはあまり行なわれていないので、通商産業省では市街地等の工場騒音防止対策調査を行なって問題点を明らかにし、騒音防止対策上望ましい土地利用構想図を描き、そこへ到達すべく方策を44年度から検討している。44年度は次の三つの形態の地域について調査を行なった。
ア 地場産業(紙パルプ)と住居が混在している地域−静岡県富士地区
イ スプロール化の進んでいる地域−愛知県豊田地区 
ウ 大都市の過密地域−大阪市城東地区
(2) 産業公害防止原単位調査
 企業が公害を防止するために支出する経費は、発生音レベル、防止技術の難易、立地条件等によっていろいろ異なるが、この経費が企業に及ぼす影響はどの程度か従来から業種別に調査している。
 調査方法は、当該業種の標準プラントを設立し、その生産設備総額と今後必要と思われる公害防止施設の投資額ならびに維持管理費用とを推算することにより、生産規模単位当たりの負担割合を算出するものであり、44年度は鍛工品を調査対象業種に取り上げた。
(3) 新潟地区騒音防止対策調査
 騒音問題については、比較的新しいため、データの不備が目立っているので、本調査はこの観点から機械の発生音レベルおよびスペクトル、工場建物内における発生音レベルおよびスペクトル、工場建物の遮音性能等をおもな調査内容とし、地場産業が発達した地域を一つの対象地域として地域全体の調査を行なうものである。
 調査対象地域として41年度は新潟県燕市、42年度同三条市、43年度は茨城県日立市および真壁町を取り上げた。44年度は新潟市を取り上げ、従来の調査要領に加えて新たに騒音規制法の測定方法による測定を行なったり、騒音に係る環境上の条件の検討を行なっている。
(4) 農林関係工場騒音実態調査
 騒音規制に対する具体的な指導を行なうとともに、今後の騒音防止のための施策の円滑な推進に資するため、製粉、製材および木材チップの工場施設について東京都ほか5県において、規制基準の区域の区分ごとに工場規模を勘案して、それぞれ一工場ずつ計48工場を選定し、騒音レベルの測定等の実態調査を実施した。

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