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第3節 

4 その他

 昭和44年11月、ベルギーのブラッセルにおいてIMCO(政府間海事協議機関)主催の海事法国際会議が開かれ(47か国参加)、海水汚濁に関する公法条約、私法条約の2条が採択された。
 公法条約は、油濁事故における公海上での措置に関する国際条約といわれ、船舶の事故に伴う海洋汚濁は災害が広範囲におよび、とくに沿岸国に与える影響が大きいことから、このような災害が発生し、またはその急迫した危険がある場合、沿岸国が、一定の範囲内で、その関係利益を保護するため、必要かつ有効な措置を公海上でとりうることを明文化したものである。
 私法条約は、油濁損害に対する民事責任に関する国際条約といわれ、船舶から流出または排出した油によって損害をこうむった者に対し、十分な補償が行なわれることを保証するとともに、船舶の負うべき責任を一定の限度に制限することを目的としたものであり、その内容は、船舶の油による汚濁損害に関し、船舶所有者の責任を厳格責任(StrictLiability)とするとともに、責任限度額を1事故当たり、当該船舶の条約トン(純トン数十機関室容積)1トン当たり2,000ポアンカレーフラン(邦貨約4万8,000円)とし、上限を2億1,000万ポアンカレーフラン(邦貨約50億円)とするものである。
 わが国は、油濁防止および被害救済の観点から、同会議において積極的役割を演じた。
 なお、運輸省においては、油濁被害救済制度の確立に資するため、44年度において海水汚濁事件処理状況調査を実施した。

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