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第1節 

3 その他

(1) 農業用水の汚濁調査
 農業用水の汚濁調査による農業被害を防止するため、昭和40年度の調査による被害面積が500ha以上の水域と、その他の水域で農業被害が激増している水域について、汚濁源、被害状況および水質について調査(5水域)を行なうとともに、水質基準の設定が必要な水域および水質基準の設定された水域において、44年度には農業被害状況、現況水質を4水域につき精査(調査期間3年)した。
 また、42年度から引き続き主要汚濁物質の濃度と水稲被害との関係について基礎調査を行ない農業用水の環境保全に資することとし、北海道、群馬県、愛知県、兵庫県および福岡県において調査(調査期間3年)を実施した。
 さらに、43年度から農業被害を防止するための対策として考えられる事業の実施方法等に関する調査を実施した。
 このほか、42年度の渡良瀬川鉱害激甚地の復旧に資するため渡良瀬川流域に客土展示圃(1か所)を設置し、過去に土壌中に蓄積された鉱毒害を除去するための客土事業の施行基準を策定するのに必要な調査を引き続き実施した。
(2) 漁場環境保全のための基礎調査の実施
 水質の汚濁による水産資源ならびに漁場荒廃の実態を正確には握し、環境保全に関する基礎資料の整備を図るため、43年度から全国漁場環境保全基礎調査を実施している。44年度は、引き続き内水面14水域、沿岸海域13水域について調査を実施した。
(3) 保護水面の指定および管理
 漁業上重要な水域ぬおける水産資源の維持培養を図るため増殖施設の設置、採捕の制限、禁止等の保護水面の管理について助成している。44年度は、新たに3水域を追加指定し、合計41水域とした。
(4) 農林水産関係工場排水に関する実態調査
 農林水産関係企業の工場排水の現状について、43年度から3か年計画で業種別にその実態調査を実施しており、44年度は、蓄肉製品製造業、農薬製造業等7業種について原料処理量、排水量、排水水質、排水処理施設等を調査した。
(5) 畜産公害対策
 畜産公害の防止のためには、ふん尿の処理技術の早急な開発と、その実用化が当面重要な課題である。このため、44年度には、前年度に引き続き、ふん尿処理技術の実用化のための家畜ふん尿処理実験施設設置事業を全国3か所において実施した。
 また、公害回避のため、都市近郊から農村地域への経営移転がみられるので、この実態をは握し、今後畜産公害対策に資するため、「畜産経営移転実態調査」を実施した。
(6) 水質汚濁監視測定体制の整備
 水質汚濁による漁業被害を未然に防止するため、全国的な水質監視体制の整備を図ることとし、43年度から都道府県が行なう水質監視事業に必要な観測機器の導入に対し助成を行なってきている。44年度は、海域を対象として、船舶に設置する自動観測装置の整備(7隻分)について補助した。
(7) 河川流域の水質汚濁調査
 河川水質汚濁の状況をは握し、総合的な水質保全対策の基礎資料とするため、汚濁の著しい河川および将来的汚濁が予想される河川に重点をおいて全国1級水系等103水系について水質調査を実施し、年々河川流域の水質汚濁状況、汚濁発生源の状況、汚濁による被害の状況等を調査している。44年度においては、予算額3,830万円(北海道開発局所管330万円を含む)をもって、利根川、木曽川、淀川等98水系(北海道開発局所管11水系を含む)の水質調査を行なった。

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