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第2節 

1 地方監視測定体制

 大気汚染防止法の指定地域においては、法律の規定に基づき都道府県もしくは政令により定められた市が、汚染の常時監視を行なっている。指定地域内に配置されている自動測定記録の測定点としては、いおう酸化物測定点、浮遊ふんじん測定点および風向風速測定点があり、引き続きその整備が進められているが、さらに千葉県,東京都、川崎市、横浜市、三重県、大阪府、大阪市、堺市等が採用しているテレメーターシステムによる監視体制が普及し整備されつつある。
 千葉県、大阪府などでは電子計算機が導入され、大気汚染の実態をは握するうえで、データの解析機能を量的、質的に強化していく情報処理のシステム化が図られつつある。大阪、千葉および東京のテレメーターセンターは単に各測定所と接続するのみならず、緊急時の措置を迅速かつ円滑に行なうために、対象工場、事業場(毎時最大で10Nm
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以上のいおう酸化物を排出する施設を所有するもの)とも直接にテレメーターシステムによって接続しており、常時監視体制は一段と強化されている。
 さらに、最近の大気汚染の広域化という事態にかんがみ、地方公共団体の行政区画をこえた広域監視体制づくりへ具体的な動きが開始されている。すでに東京都と神奈川県および川崎市は相互協定によって多摩川両岸に展開する双方の工場、事業場に対し、共同で緊急時の措置をとることとし、さらに将来的には気象条件等をも考慮して、汚染の予知、予報に努め、高濃度汚染に対する緊急時の措置を一層効果的なものにすることが考えられている。同様の動きは大阪・尼崎地域や大牟田・荒尾地域などにもみられるが、今後地方公共団体(とくに都府県)の行政区画をこえて展開する工業化、都市化に伴って、こうした広域監視体制の整備はますます必要となるであろう。

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