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第1節 

6 鉱煙による鉱害の防止

 鉱山における鉱害の防止については、鉱山保安法に基づき、全国10か所の鉱山保安監督局(部)の鉱務監督官が、鉱山における人に対する危害の防止とともに、一元的な監督指導を行なっている。
 鉱煙およびふんじんによる鉱害の防止については、古くから製錬所の離島への移設、高煙突の設置等各種の対策が講ぜられ、鉱害は軽減されてきている。
 昭和44度においては、さらに鉱害監督の強化を図り、監督検査用の精密検査機器の整備拡充を図るとともに労働災害防止に関する監督とは別に鉱害監督体制を整備し、鉱煙の発生源に対する検査とともに広域にわたる環境の精密検査等も実施し検査の結果に基づき鉱煙の処理方法等について具体的な監査指導を行なうこととした。
 鉱煙の監督基準については、大気汚染防止法の指定地域内に存する鉱山については、同法の排出基準と同一の基準により監督を行なうほか、指定地域以外の鉱山についても、周囲の住居地域、植生、地理的条件、気象状況等を勘案して同法の基準に準じて監督を行なっている。
 また、大気中のカドミウムについては、44年3月厚生省が「カドミウムによる環境汚染暫定対策」の考え方を明らかにしたので、44年度においては、鉱煙中に含まれるカドミウムによる鉱害の防止を図るため、全国の主用製錬所の環境大気中のカドミウム含有量について、広域にわたって精密検査を実施したが、その結果、すべての基準を満足していることが明らかにされた。
 石灰ふんじんの飛散による鉱害については、住居地域の近くで、石灰のか焼、消化等を行なっている事業場が集中している二、三の地域において苦情が提起されたが、集じん装置の設置等により解決を図っている。

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