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第1節 

1 大気汚染防止法のしくみ

 大気汚染の防止については、昭和37年以来ばい煙規制法に基づき工場および事業からのばい煙の規制を中心とした対策が講ぜられてきたが、42年8月に制定された公害対策基本法の精神にのっとり、ばい煙規制法を廃止し大気汚染防止のための総合立方として、43年6月20日に大気汚染防止法が公布され、同年12月1日から施行されている。
 大気汚染防止法では、ばい煙(燃焼過程から発生するいおう酸化物および燃焼過程等から発生するすすその他のふんじん)の排出規制のしくみとして、
(1) この法律の規制対象として政令で定めるばい煙発生施設が集合して設置されておりその施設から排出されるばい煙が大気を著しく汚染している地域やばい煙発生施設が集合して設置されることが確実であってその施設から排出されるばい煙が大気を急速にかつ著しく汚染する地域等をあらかじめ関係都道府県知事の意見を聞いたうえ、規制対象地域(指定地域)として指定する。
(2) 指定地域ごとに、ばい煙排出の遵守すべき排出基準を定める。排出基準はいおう酸化物については、排出口から排出されるいおう酸化物の量の許容限度を排出口の高さに応じて定めることしし、すすその他のふんじんについては、ばい煙発生施設排出口から排出される排出物に含まれるすすその他のふんじん量の許容限度をばい煙発生施設の種類ごとに定めている。
(3) 指定地域内におけるばい煙排出者に対し、ばい煙発生施設を設置する際の事前の届出義務や排出基準の遵守義務を課すとともに、排出基準に合しない場合には計画変更命令(計画の廃止を含む)や改善命令ができることとされ、さらに大気の汚染が著しく人の健康をそこなうおそれのある緊急時に際しては、ばい煙排出者に対してばい煙量の減少について協力を求め、必要な場合にはいおう酸化物の大口発生施設の設置者に対し、その排出量の減少のための措置をとるべきことを勧告できることなどが規定されている。

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