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第1節 概説

 環境基準は、前述したように、大気の汚染、水質の汚濁および騒音について、人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準であり、公害の防止を目的とする行政施策の具体的な目標となるものである。すなわち、ばい煙または汚水等の排出の規制、土地利用または施設の整備等の個別の公害対策の実施にあたり、あらかじめ、それらの施策によって大気、水、または静けさを終局的にはどのようなものとして、または、どの程度に保とうとしているのかを明らかにし、それらの対策に具体的な指針を与えようとするものである。いわば、公害対策推進全般にわたり、その目標となり、よりどころとなるものである。また、この環境基準は、まだ汚染されていないかあるいは汚染の程度の低い地域については、今後の汚染を防止するための対策の根拠となり、この基準をこえることのないよう必要な対策を実施するための目標となるものであり、すでに汚染が進行している地域については、汚染度の低減のための具体的施策の目標としての役割を果すものである。
 昭和44年2月、人の健康を保護するうえで維持されることの望ましい基準として、大気汚染に係る環境基準第1号であるいおう酸化物の環境基準を閣議決定したのに引き続いて、45年2月には一酸化炭素の環境基準の閣議決定を行なった。また、水質汚濁については、経済企画庁の水質審議会で調査審議が行なわれ、45年3月31日に環境基準設定の基本方針が示された。なお、浮遊ふんじんおよび騒音についても、基準設定のための検討を進めている。

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