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第1節 

2 水資源の質の確保の必要性

 国民生活および各種産業に欠くことのできない水の主たる供給源である公共用水域の水質汚濁の防止のためには、工場排水等水質汚濁源からの排水の水質規制を強化する一方、下水道、廃油処理施設等の公害防止施設の整備、工場、住宅団地等の立地の適正化措置、汚水処理技術の開発、企業の公害防止施設設置に対する助成等諸般の対策を総合的に実施する必要があると考えられる。このため、政府としては、水質保全法および工場排水規制法、鉱山保安法等により、工場等水質汚濁源からの排水の水質規制を行なうとともに、下水道整備についても「下水道整備5ヶ年計画」を策定し、鋭意努力を重ねてきている。地方公共団体においても、公害防止条例等を制定し、排水規制、汚水処理についての指導監督、企業に対する助成等の諸施策を行なっている。
 また、近年は、企業側においても、公害から国民の健康、生活環境および各種産業を守るということが企業の社会的責務であるという意識をもち、公害防止に自主的な努力を払うようになってきている。
 従来、わが国においては、公共用水域の水質を保全するという意識に乏しかったが、今後は、公害対策基本法に基づく環境基準を目標としつつ、経済の発展に対応した水資源の質、量両面における確保が必要である。

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