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第8節 

3 その他の対策

(1) 海水油濁被害者救済対策
 タンカーの沈没、座礁等による油の流出により、水産業、海岸地域に重大な被害を与える例が増加しており、今後も海上交通の混雑とタンカーの大型化等に伴つてますます増大するものと予想されているので、これに対し被害者を救済する対策としては、次のようなものを考えている。
 第1に、加害者の責任については、現行商法が定める委付主義を、1957年ブラッセルで署名された「航海船の所有者の責任制限に関する国際条約」が定める金額主義に改めることを検討する。
 また、タンカーの油濁事故による損害については、船主の責任を強化するための条約案がIMCO(政府間海事協議機関)を中心として検討されており、今秋の海事法外交会議においてこの条約がまとめられる予定である。
 第2に、加害者の損害賠償能力を確保するために、船主責任相互保険への加入を促進するとともに、事故発生の際には、損害賠償の責を負う運航者、船主、荷主に対し、誠意をもつて十分な損害賠償等の善後措置をするよう指導を強める。
 なお、海水油濁事故の増大にかんがみ、44年度には内航船舶海水油濁事故の発生状況、損害額、損害賠償額あるいはその支払状況等について詳細な調査をすることなつている。
(2) 自動車排出ガスによる影響調査
 自動車排出ガスによる公害について、その排出許容限度を定め、排出規制を行なうことを通じてその防止に努力してきたが、自動車排出ガスによる影響についてもこれを検討するため、44年度において実態調査を行なうこととしている。

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