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第5節 監視測定体制の拡充

 大気汚染防止のため必要な監視体制として、従来いおう酸化物等について自動記録測定装置を設置し、これをテレメータ装置によつて1か所に集め、迅速的確に汚染の実態を管理することによつて適切な規制、指導を行ない、また昭和43年度からは、移動監視測定車による監視を新たに加えるなどの措置をとつてきた。
 44年度においては、これら自動記録測定装置の設置、これのテレメータ化および移動監視測定車の整備について助成を行なうほか大気汚染測定、分析等のために必要な機器の整備に対し助成を行なう。
 また、国設の大気汚染測定網を整備するため、従来東京、大阪、北九州等9か所に大気汚染自動記録装置を設けているが、44年度には千葉県と島根県の2か所に新たに設けることとしている。
 気象庁は、前年度に四日市地域に無線通信用鉄塔を利用して気象観測伝送施設を整備したが、44年度からのこの施設を定常的に運用し、気象官署における大気汚染気象業務を強化する。
 また、特別に大気汚染気象業務が整備されていない気象官署にあつても、大気汚染防止法による都道府県知事の緊急時の措置について、従来に引き続き現在の業務体制の範囲内で気象情報を提供し、協力する。
 水質汚濁についての監視体制としては、水銀、カドミウムによる人の健康の被害に係る公害の発生を未然に防止するため、予防的見地より水銀、カドミウムについて使用工場および鉱山、製練所周辺における環境汚染調査を地方公共団体と協力し調査を進めてきたが、44年度においても、なおいつそうこの調査を広めて環境汚染調査を実施する予定である。
 地方公共団体が、常時監視体制を進めるうえにおいて必要な調査方法および汚染度に応じて採るべき措置等について、昨年8月水銀による環境汚染暫定対策要綱を作成し、指示したが、カドミウムについても44年5月を目途に暫定対策要綱を作成し、指示する予定である。
 なお、水質保全法上の指定水域については、都道府県知事が汚濁状況は握のための測定を行なうことにより同法の運用に万全を期することとし、第61回国会に同法の一部改正案を提出している。
 また、漁場等の水質の監視測定に必要な自動観測施設等の導入について、関係都道府県に助成を行なうなど地方公共団体が行なう常時監視のために必要な機器の整備に対し助成を行なう。
 さらに、騒音の監視測定については、騒音が地域性の強い公害であることなどの性格から、大気汚染のような方式では不適当であり、独自の監視測定システムを考えていく必要がある。そこで公害担当職員が指示騒音計等を携帯してパトロールする方式や、自記測定記録計による常時測定を行なうために必要な測定機器についての助成を行なうこととしている。

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