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第2節 

1 公立学校に対する助成

 昭和42年2月、文部省は全国の公立学校について、公害による被害状況の調査を実施した(第2部第3章第1節3参照)。その結果、公害により学習活動になんらかの障害を生じていると報告された学校は、1,947校に達し、全国の公立学校数の4.4%に相当し、今後とも被害学校数は増加するものと思われる。
 公害は地域全般の問題であり、根本的には発生源を除去することが重要であるが、現実の問題としては公害を受けている学校について、教育活動を円滑に行ない、児童生徒の健康と安全を守るために学校独自の対策を講ずる必要がある。
 すでに38年以降、東京、横浜、四日市、大阪の各都市においては学校施設の一部に公害防止工事を実施してきたが、42年度において大阪市川北小学校(地盤沈下)、四日市市塩浜中学校(大気汚染)に対し移転改築費の一部として4,762万円の国庫補助金を支出した。
 43年度予算にあっては、騒音(航空機騒音を除く)、大気汚染等の公害のため、教育環境上著しく不適当な公立学校建物について、公害等不適格事業として、2億675万円の国庫補助金を計上した(補助金3分の1)。
 公害の防止対策としては
(1) 騒音においては二重窓、天井等吸音、動力換気装置等の防音工事および、必要に応じて引き家移転、あるいは木造建物を鉄筋コンクリート造りに改築(移転改築を含む)する
(2) 大気汚染については外窓の気密化、空気浄化装置等の防止工事および必要に応じて木造建物を鉄筋コンクリート造りに改築(移転改築を含む)する
 のように措置する。
 43年度では、公害の重症校で、特に緊急に措置する必要のある東京、神奈川、大阪、兵庫等10都府県の18市(特別区を含む)29校について、公害防止工事(改築を含む)の国庫補助を実施した。

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