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第1節 

1 事業団の創設とその業務

 
 近年における産業活動の急速な発展に伴い、産業活動が集中して行なわれる地域において、大気汚染、水質汚濁による生活環境の悪化が重大な社会問題としてクローズアップされてきた。 
 これらの公害問題の解決のためには、個別の発生源に対する法的規制の実施や公害防止施設の設置に対する助成では十分でなく、既成工業地域にみられる工場と住宅との無秩序な混在を解決するための緩衝緑地の建設や工場の集団移転が必要であり、また、中小企業等については共同で公害防止施設の設置等を行なうことが技術的、経済的により効率的である場合が多い。
 したがって、このような場合に、これらに事業の実施に対する助成を行なう機関を新たに設置する必要があり、厚生省、通商産業省両省共管の特殊法人である公害防止事業団が昭和40年10月設立された。事業団は、産業集中地域における産業公害を防止するために、以下に揚げる業務を行なうものとされた。
(1) 造成建設事業
ア 共同公害防止施設の設置、譲渡
イ 共同利用建物の設置、譲渡
ウ 工場移転用地の造成、譲渡 
エ 共同福利施設の設置、譲渡
(2) 融資事業
ア 共同公害防止施設の設備資金の融資
イ 個別公害防止施設の設備資金の融資

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