前のページ 次のページ

第3節 

3 監視取締り体制

 従来、海水の汚濁については、主として港則法に基づき海上保安庁が監視および取り締まりに当たってきたが、この法律は適用範囲が港内およびその付近に限られていることなどから、必ずしも油濁防止の実効を期しがたい面があった。その後、42年9月の船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律の施行に伴い、海上保安庁ではこの法律に基づき監視および取り締まりを強化し、海水の油濁防止に当たることとなった。
 しかしながら海上保安庁の機関、巡視船艇および航空機のみでは、広大な海域における船舶の油濁事犯の監視について十分な効果が期待できないので、防衛庁(海上、航空自衛隊)、水産庁および地方公共団体に対し、船舶の油濁事犯の監視、通報を依頼するとともに民間関係者に対しては、海水の油濁防止と発見時の通報について指導啓もうに努めるなど官民協力による監視体制の確立を図った。
 43年度においては、舞鶴空港基地を伊勢に移設し、巡視船艇10隻の代替増強を行なうなど油濁事犯の監視体制の整備を図るとともに、海水油濁事犯に対する科学捜査用器材の一部として、ガスクロマトグラフおよび表面油水採取計を整備した。
 また、海水浴シーズンに重点を置いて、海水汚濁関係法令違反の全国いっせい公開取り締まりを実施したほか特に海水汚濁の多発するおそれのある東京湾、伊勢湾、大阪湾等の海域に巡視船艇や航空機を重点的に運用して、随時積極的な取り締まりを実施した。

前のページ 次のページ