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第1節 

5 その他の関係法令等に基づく水質調査等

 以上のほか、関係省庁においては、それぞれの立場からする公共用水域の水質調査等が行なわれている。
(1) 河川の水質汚濁調査
 河川における水質汚濁の実情をは握し、河川管理の適正な運用を確保するため、建設省においては、汚濁の著しい河川および将来汚濁が予想される河川について昭和42年度までに全国のおもなる一級河川42水系の主要地点において、水質の現況と汚濁の機構をは握するため年間を通じて水質調査を実施している。
 43年度は新たに一級河川48水系を加えて90水系として水質調査を実施し、流域の水質汚濁状況、汚濁発生源、被害状況、将来の水質汚濁に関する調査等のために水温、懸濁物、生物化学的酸素要求量(BOD)、科学的酸素要求量(COD)、溶存酸素(DO)、蒸発残留物、大腸菌群数等の主要項目(14〜20項目)について分析を行ない、さらに、特に必要な河川においては特殊項目についての調査を必要に応じ実施している。
 この成果は当該水質の推移をは握するとともに、水質年報として発刊している。
(2) 農漁業被害に関する水質調査等
ア 農業用水の汚濁調査
 農業用水の汚濁による農業被害を防止するため、農林省において昭和40年の調査による被害面積が500ha以上の水域とその他の水域で農業被害が激増している水域について、毎年5水域ずつ、汚濁源、被害状況および水質について調査を行ない、これに基づき水質基準の設定が必要な水域および水質基準の設定された水域について、農業被害状況、現況水質を毎年3水域ずつ精査(調査期間3年)している。
 さらに、42年度および43年度には主要汚濁物質の濃度と水稲被害との関係について基礎調査を行ない農業用水の環境保全に資することとし、北海道、群馬県、愛知県、兵庫県および福岡県において調査(調査期間3年)を実施している。
 また、43年度には農業被害を防止するための対策として考えられる事業の実施方法等に関する調査を神奈川県、愛知県および兵庫県においてモデル的に実施している。
 このほか、42年度に渡良瀬川鉱害激甚地の復旧に資するため、渡良瀬川流域に客土展示圃(1か所)を設置し、過去に土壌中に蓄積された鉱毒害を除去するための客土事業の施行基準を策定するに必要な調査を実施している。
イ 漁業の水質保全に関する調査
 昭和42年度までは、重要水産資源を保護するため水質汚濁を防止することが特に必要な水域について、おのおのその水域概況および漁業実態の調査を実施してきたが、43年度からは新たに漁場環境保全に関する総合的な基礎調査(43年度は内水面12水域、沿岸海域8水域)を計画的に実施した。
ウ 水質汚濁監視測定体制の整備
 漁業上重要な水域における水質汚濁監視の必要性の増加に伴い、昭和41年度から42年度まで都道府県が実施する沿岸海域および内水面の水質汚濁監視事業(いわゆる漁業水質パトロール事業)に対し助成を行なつてきたが、43年度から新たに水質汚濁監視上必要な自動観測施設等(自動観測施設12、巡回観測機器25)の導入事業を助成した。
エ 農林水産関係工場場等に関する実態調査
 農林水産業関係企業の工場排水の現状について、業種別にその実態調査を実施する。この調査は、昭和43年度からおおむね3か年で終了することを目標に、初年度においては、飲用牛乳製造業、水産物びん・かん詰製造業等7業種について、原料処理量、排水量、排水処理施設、排水水質等を現地調査とアンケート調査により実施した。
エ 農林水産関係工場などに関する実態調査
 農林水産関係企業の工場排水の現状について、業種別にその実態調査を実施する。この調査は、昭和43年度からおおむね3か年で終了することを目標に、初年度においては、飲用牛乳製造業、水産物びん、かん詰製造工業等7業種について、原料処理量、排水量、排水処理施設、排水水質等を現地調査とアンケート調査により実施した。
(3) 都市排水などに関する水質調査
 公共下水道および都市下水路からの排水に関する水路水質調査および下水汚泥の処理処分方法に関する調査を行なっている。
 
ア 水路水質調査は、下水道路整備計画および総合的な水質汚濁防止対策の樹立に資するためのものであり、水質汚濁の著しい地点を対象とし、公共用水域の水質汚濁の実態と水域に排出される都市排水の水質を調査したのもである。
 この調査は、昭和33年より実施し、43年度においても引き続き第3-3-3表の地点について調査を実施した。
イ 下水汚濁の処理方法に関する調査は、下水処理過程において大量に発生する汚泥の処理処分方法を研究するのもである。処理、処分を誤れば悪臭、水質汚濁などの公害発生の原因となるものである。本調査では下水汚泥の各種の処理方法について調査を行ない、都市形態にあった経済的処理方法を追求するものである。
 本調査は、昭和43年度を初年度とし、今後数年間にわたって行なうものである。


(4) 産業公害総合事前調査
 
 今後、急速に工業化が進む地域および現に大規模な工業開発が進行している地域ならびに新規埋立予定海域について、工業排水による産業公害を未然に防止するため通商産業省においては、地元の地方公共団体の協力のもとに昭和41年度以降、産業公害総合事業調査を実施しており、43年度までに実施した水域は鹿島、水島など12水域にのぼっている。この調査は、総合的、科学的な手法を用いて将来の水質の汚濁状況を予測し、その結果をもとに企業および地方公共団体に必要な改善指導を行なうことにより、水質汚濁の未然防止に資することを目的としたものである。

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