環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第6節 持続可能な利用

第6節 持続可能な利用

1 持続可能な農林水産業

農林水産関連施策において、農林水産省では、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させる新たな政策方針として、2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定し、温室効果ガス削減や生物多様性の保全等の環境負荷低減にも寄与する持続可能な食料システムの構築を強力に推進することとしています。また、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(みどりの食料システム法)(令和4年法律第37号)に基づく環境負荷低減の取組等を後押しする認定制度により、化学肥料・化学農薬の低減や有機農業の拡大などに取り組む生産者や地域ぐるみの活動、環境負荷低減につながる技術開発等を促進します。

また、サプライチェーン全体で生物多様性をより重視した視点を農林水産施策に取り入れ、持続可能な食料・農林水産業を推進するとともに、農林水産業の生産現場であり、それを担う人々の暮らしの場でもある農山漁村の活性化を図ります。具体的には農地・水資源の保全・維持、生物多様性保全に効果の高い営農活動の導入や持続可能な森林経営等を積極的に進めるとともに、生態系に配慮した再生可能エネルギー等の利用を促進します。

持続可能な農業生産を支える取組の推進を図るため、化学肥料、化学合成農薬の使用を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動に取り組む農業者の組織する団体等を支援する環境保全型農業直接支払を実施します。

環境保全等の持続可能性を確保するための取組である農業生産工程管理(GAP)の普及・推進や、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)に基づく有機農業の推進に関する基本的な方針の下で、有機農業指導員の育成及び新たに有機農業に取り組む農業者の技術習得等による人材育成、有機農産物の安定供給体制の構築、国産有機農産物の流通、加工、小売等の事業者と連携した需要喚起の取組を支援します。

食料・農林水産業の持続可能な生産・消費を後押しするため、消費者庁、農林水産省、環境省の3省庁連携の下、2020年6月に立ち上げた官民協働のプラットフォームである「あふの環(わ)2030プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」において、参加メンバーが一斉に情報発信を実施するサステナウィークや全国各地のサステナブルな取組動画を募集・表彰するサステナアワード等を実施します。

2 エコツーリズムの推進

エコツーリズム推進法(平成19年法律第105号)に基づき、全体構想の認定・周知・策定支援、ガイド等の人材の育成、情報の収集、広報活動等を実施するなど、地域が主体的に行うエコツーリズムの活動を支援します。