環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第3節 ライフサイクル全体での徹底的な資源循環

第3節 ライフサイクル全体での徹底的な資源循環

サービサイジング、シェアリング、リユース、リマニュファクチャリングなど2R型ビジネスモデルの普及が循環型社会にもたらす影響(天然資源投入量、廃棄物発生量、CO2排出量等の削減や資源生産性の向上等)について、可能な限り定量的な評価を進めつつ、そうしたビジネスモデルの確立・普及を促進します。

資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)(平成3年法律第48号)については、これまでに行ってきた家庭から排出される使用済パソコンや小形二次電池の回収体制の整備、家電・パソコンに含有される物質に関する情報共有の義務化の措置等を踏まえ、循環型社会の形成に向けた取組を推進するために、最近の資源有効利用に係る取組状況等を踏まえつつ、3Rの更なる促進に努めます。

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)(平成7年法律第112号)については、2016年5月の中央環境審議会及び産業構造審議会からの意見具申や2019年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」(2019年5月31日消費者庁・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省策定)を踏まえ、環境負荷低減と社会全体のコスト低減等を図り、循環型社会の形成や資源の効率的な利用を推進するために、各種課題の解決や容器包装のライフサイクル全体を視野に入れた3Rの更なる推進に取り組みます。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)については、2019年7月に策定された新たな基本方針に基づき、事業系食品ロス削減に係る目標及び再生利用等実施率等の目標の達成に向けて、食品ロスを含めた食品廃棄物等の発生抑制と食品循環資源の再生利用等の促進に取り組みます。さらに、食品廃棄物等の不適正処理対策を徹底します。

使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)(平成24年法律第57号)については、2020年8月に取りまとめられた「小型家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」を踏まえ、使用済小型家電の回収量拡大に向けて取り組み、有用金属等の再資源化を促進します。また、2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会のメダルを使用済小型家電由来の金属から製作する「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を通じて得られた機運や使用済小型家電の回収環境等をレガシーとする「アフターメダルプロジェクト」を通じて、引き続き小型家電リサイクルの普及啓発を行い、循環型社会の構築や3R意識の醸成に活用していきます。

特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)(平成10年法律第97号)については、2014年10月に取りまとめられた「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」から5年を経過していることから、制度検討を進めています。

使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)(平成14年法律第87号)は、2021年7月に産業構造審議会・中央環境審議会の合同会議において示された制度の評価・検討の結果を踏まえつつ、適切な施策を講じていきます。

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)(平成12年法律第104号)については、前回の見直し時の中央環境審議会及び社会資本整備審議会からの意見具申に基づき、確実に法を施行していきます。

1 プラスチック

海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応等の幅広い課題に対応するため、「プラスチック資源循環戦略」で掲げた野心的なマイルストーンの達成を目指し、2022年4月1日に施行されたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号。以下「プラスチック資源循環促進法」という。)の円滑な施行を始め、予算、制度的対応を進めていきます。また、「バイオプラスチック導入ロードマップ」(2021年1月策定)に基づき、バイオプラスチックの実用性向上と化石燃料由来プラスチックとの代替促進を進めていきます。「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」(2021年1月経済産業省、環境省策定)に基づき、企業価値の向上と国際競争力の強化につながるよう、共通基盤を整備していきます。

2 バイオマス(食品、木など)

「第四次循環型社会形成推進基本計画」(以下、循環型社会形成推進基本計画を「循環基本計画」という。)及び新たな食品リサイクル法基本方針に示された、食品ロス削減目標の達成のため、食品ロスの削減の推進に関する法律(令和元年法律第19号)に基づく基本方針も踏まえ、食品ロス削減の取組を推進します。

食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業、家庭の各主体の取組を促進するとともに、地方公共団体が各主体間の連携を調整し、地域全体で取組を促進します。

食品廃棄物等の不適正処理対策の徹底と食品リサイクルの取組を同時に促進します。

3 ベースメタルやレアメタル等の金属

小型家電リサイクルの普及による影響と効果を分析した上で、小型家電の収集・運搬の効率化や、地域特性に応じた最適な回収方法の選択を促すことによって、回収量の更なる増大につなげます。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)及びその政省令の改正等を通じて、いわゆる雑品スクラップに含まれる有害使用済機器の適正な処理やリサイクルを推進します。

使用済製品のより広域でのリサイクルを行うため、広域的な実施によって、廃棄物の減量化や適正処理の確保に資するとして環境大臣の認定を受けた者については、地方公共団体ごとに要求される廃棄物処理業の許可を不要とする制度(広域認定制度)の適切な運用を図り、情報処理機器や各種電池等の製造事業者等が行う高度な再生処理によって、有用金属の分別回収を推進します。

4 土石・建設材料

建設廃棄物や建設発生土等の建設副産物の減量のため、脱炭素化や強靱(じん)化も考慮した既存住宅の改修による長寿命化など、良質な社会ストックを形成し、社会需要の変化に応じて機能を変えながら長期活用を進めます。また、人口減少等により、空き家等の放置された建築物について廃棄物対策を推進します。

5 温暖化対策等により新たに普及した製品や素材

太陽光発電設備等の脱炭素製品の3Rを推進し、これら脱炭素製品の普及を促進します。