環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第2節 グリーンな経済システムの構築

第2節 グリーンな経済システムの構築

1 企業戦略における環境ビジネスの拡大・環境配慮の主流化

グリーンな経済システムを構築していくためには、企業戦略における環境配慮の主流化を後押ししていくことが必要です。具体的には、環境経営を促進するため、幅広い事業者へ「エコアクション21」を始めとする環境マネジメントシステムの普及促進を引き続き行うとともに、環境報告ガイドラインや環境報告のための解説書の発行等を通じ、環境報告を促していきます。

グリーン購入・環境配慮契約の推進について、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)(平成12年法律第100号)及び国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(環境配慮契約法)(平成19年法律第56号)に基づく基本方針について適宜見直しを行い、国及び独立行政法人等の各機関が、これらの基本方針に基づきグリーン購入・環境配慮契約に取り組むことで、グリーン製品・サービスに対する需要の拡大を促進していきます。

2 金融を通じたグリーンな経済システムの構築

環境・経済・社会が共に発展し、持続可能な経済成長を遂げるためには、長期的な視点に立ってESG金融(環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)といった要素を考慮する金融)を促進していくことが重要です。このため、環境情報と企業価値に関する関連性に対する投資家の理解の向上や、金融機関が本業を通して環境等に配慮する旨をうたう「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」に対する支援等に取り組むとともに、環境報告ガイドラインの普及や環境情報開示のプラットフォームの整備等を通じ、企業価値の向上に向けて環境情報の開示に取り組む企業の拡大及び企業が開示する情報の質の適正化を図ります。

また、産業と金融の建設的な対話を促進するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同する企業等により設立された「TCFDコンソーシアム」の活動の支援やシナリオ分析の支援等を通じて企業の積極的な情報開示や投資家等による開示情報の適切な利活用を推進していくとともに、産業界と金融界のトップを集めた国際的な会合「TCFDサミット」の継続的な開催を通じて日本の取組を世界に発信していきます。

金融・投資分野の各業界トップと国が連携し、ESG金融に関する意識と取組を高めていくための議論を行い、行動する場として「ESG金融ハイレベル・パネル」を定期的に開催し、ESG金融懇談会提言(2018年7月)に基づく取組状況をフォローアップします。

環境事業への投融資を促進するため、民間資金が十分に供給されていない脱炭素化プロジェクトに対する「地域脱炭素投資促進ファンド」からの出資による支援、グリーンボンドの発行支援に要する費用に対する補助等によるその発行・投資の促進、低炭素機器をリースで導入した場合のリース事業者に対するリース料の助成事業等を引き続き実施していきます。加えて、地域金融機関のESG金融への取組支援や地域におけるESG融資に対する利子補給等を通じてESG地域金融の促進を図ります。

以上により、金融を通じて環境への配慮に適切なインセンティブを与え、金融のグリーン化を進めていきます。

3 グリーンな経済システムの基盤となる税制

2020年度税制改正において、[1]地球温暖化対策のための税の着実な実施、[2]特定廃棄物最終処分場における特定災害防止準備金の損金算入等の特例措置の延長(所得税、法人税、個人住民税、法人住民税、事業税)、[3]公共の危害防止のために設置された施設又は設備(廃棄物処理施設、汚水又は廃液処理施設)に係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税)、[4]省エネ・再エネ高度化投資促進税制の拡充・延長(所得税、法人税、法人住民税、事業税)、[5]再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税)、[6]認定長期優良住宅に係る特例措置の延長(登録免許税、固定資産税、不動産取得税)、[7]既存住宅の省エネ改修に係る軽減措置の延長(固定資産税)、[8]認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減の延長(登録免許税)の措置を講じています。

エネルギー課税、車体課税といった環境関連税制等による環境効果等について、諸外国の状況を含め、総合的・体系的に調査・分析を行い、引き続き税制全体のグリーン化を推進していきます。地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例については、その税収を活用して、エネルギー起源CO2排出抑制の諸施策を着実に実施していきます。