環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第5章>第2節 化学物質に関する未解明の問題への対応

第2節 化学物質に関する未解明の問題への対応

科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充足に努めながら予防的取組方法の考え方に立って、以下をはじめとする未解明の問題について対策を講じていきます。

胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子供の健康に与える影響を解明するために、2010年度から開始された子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)を引き続き着実に実施します。エコチル調査は、全国で10万組の親子を対象とした大規模かつ長期の出生コホート調査であり、2019年度からは8歳児を対象とする対面式の学童期検査を開始します。

調査研究の実施に当たっては、参加者への積極的な情報提供に努め、学会や関係機関とも連携・協力していきます。また、10万組規模の同様の疫学研究がデンマーク、ノルウェー等でも計画されており、これら諸外国の研究や国際機関等とも連携していきます。得られた成果については、化学物質の適正な管理に関する施策に活用することにより、安全・安心な子育て環境の構築に役立てていきます。

化学物質の内分泌かく乱作用について、評価手法の確立と評価の実施を加速化し、その結果を踏まえリスク管理に係る所要の措置を講じます。また、経済協力開発機構(OECD)等の取組に参加しつつ、新たな評価手法等の開発検討を進め、併せて国民への情報提供を実施します。

複数の化学物質が同時に人や環境に作用する場合の複合影響や、化学物質が個体群、生態系又は生物多様性に与える影響について、国際的な動向を参照しつつ、科学的知見の集積、機構の解明、評価方法の検討・開発等に取り組みます。その成果を踏まえ、可能なものについてリスク評価を順次進めます。

急速に実用化が進み環境リスクが懸念されるナノ材料について、OECD等の取組に積極的に参加しつつ、その環境リスクに関する知見の集積を図るとともに、環境中挙動の把握やリスク評価手法に関する情報収集を進めることで、状況の早期把握に努めます。