コラム 9 EUにおける電気・電子機器規制
EUでは廃電気・電子機器の排出量が年々増加し、廃棄されたもののうち約90%が何の前処理もされずに埋立てや焼却されており、埋立場や焼却場からの鉛などによる汚染が問題となっています。このためEUでは、「共同体の環境政策は、予防行動の原則、環境破壊は根元を優先的に正すとの原則及び汚染者負担の原則に基づかなければならない」というEC条約の理念に基づき、廃電気・電子機器の回収やリサイクルに関するWEEE指令と製品中に含まれる有害物質を規制するRoHS指令を制定しました。 WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)指令とは、EU加盟国に対して、家庭用電気製品や医療用機器、監視及び制御機器、自動販売機など10のカテゴリーに及ぶ電気・電子機器を対象に、これらが廃棄物となることが予防されるよう、メーカーに分別回収やリサイクルを義務付ける指令です。メーカーは平成17年8月13日以降、対象となっている電気・電子機器について分別回収、リサイクルを行う義務を負うこととなります。 RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)指令とは、WEEE指令の適用対象機器のうち医療用機器と監視及び制御機器を除く電気・電子機器に含まれる有害物質の使用制限を定める指令です。ここでいう有害物質とは鉛・水銀・カドミウム・6価クロム・ポリ臭素化ビフェニール(PBB)・ポリ臭素化ジフェニールエーテル(PBDE)の6種類を指し、これらの有害物質の製品への使用が平成18年7月から禁止されることとなります。 我が国のメーカーなどにおいては、RoHS指令の施行に先立ち化学物質関連法などに基づいて製品への有害物質の使用の制限に対する取組がなされてきました。RoHS指令で指定されている6種の有害物質の使用については、大手企業では平成16年度末までに代替技術が確立されていないものを除いて使用が禁止されるなど対策が進められています。 |
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