環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第4節 国際的取組に係る施策

第4節 国際的取組に係る施策

1 地球環境保全等に関する国際協力等の推進

 地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。

(1)地球環境保全等に関する国際的な連携の確保

ア 多国間の枠組みによる連携

(ア)国連を通じた取組

a 国連持続可能な開発会議(リオ+20、UNCSD)における取組

 2012年(平成24年)6月に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)において、持続可能な開発目標(SDGs)に関する政府間交渉プロセスの立ち上げが合意されたことを受け、2013年(平成25年)1月、30名の専門家からなるオープン・ワーキンググループ(OWG)が設置されました。2013年(平成25年)3月から2014年(平成26年)2月にかけて計8回のOWGが開催され、我が国も、ネパール及びイランと一つの議席を分け合う形で各会合に出席し、各テーマの下で我が国が重視する取組等について発言する等、議論に貢献しました。また、環境研究総合推進費により2013年度(平成25年度)から開始した「持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究」等では、各分野の研究者が共同で、指標、開発、ガバナンスといった側面について、学際的な研究を行っており、公開シンポジウムを開催するなど多様な視点からSDGsへの議論がなされました。

b 国連環境計画(UNEP)における活動

 我が国は、創設当初から一貫して国連環境計画(UNEP)の管理理事国であるとともに、環境基金に対し、2013年(平成25年)は約280万ドルを拠出する等、多大な貢献を行っています。UNEP強化策の一つとして、2012年(平成24年)6月に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)の成果文書「我々が望む未来」(“The Future We Want”)において、管理理事会は「国連環境総会」(UNEA:United Nations Environment Assembly)と名称が改められ、すべての国連加盟国が参加する第1回会合が2014年(平成26年)6月23~27日にナイロビで開催されることとなりました。なお、我が国は2011年(平成23年)2月より、国連環境総会の副議長を務めています。

 大阪に事務所を置くUNEP国際環境技術センター(IETC)に対しては、2013年(平成25年)は約160万ドルを拠出する等財政的な支援を実施するとともに、IETCが実施する開発途上国等への環境上適正な技術の移転に関する支援、環境保全技術に関する情報の収集・整備及び発信や廃棄物管理に関するグローバル・パートナーシップへの協力等を行い、関係府市等と協力して、同センターの円滑な業務の遂行を支援しました。なお、IETCへの拠出金に関しては、2012年(平成24年)6月に行われた環境省行政事業レビューにおいて抜本的に見直しを行うべきという委員からの指摘がありました。これを受け、環境省では、外部有識者検討委員会を設置し、同委員会によって7月に取りまとめられた提言を受け、IETCの協力体制の強化を目的として、IETCと密接に協働し、国内外のさまざまなステークホルダーと連携するための機能を有する「コラボレーティングセンター」の設立に向けてUNEPとの協議を行っています。

 また、UNEPアジア太平洋地域事務所が実施する「気候変動に強靱な発展支援プログラム」への拠出を通して、アジア太平洋地域の途上国に対し適応基金へのダイレクトアクセスの能力開発を行いました。2013年(平成25年)11月の気候変動枠組条約第19回締約国会議に際しては、環境大臣が世界適応ネットワーク(GAN)の名誉共同議長にUNEP事務局長とともにに就任し、活動を開始しました。

c 世界水の日

 2014年(平成26年)3月21日(金・春分の日)に、東京・国連大学で、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)主催の「2014年世界水の日記念式典」が開催されました。

 国連では、1993年から毎年3月22日を水資源の開発・保全に関して普及啓発を行う日として「世界水の日」と定めており、国連機関が主催する「世界水の日」の主要記念式典としては、日本で初めての開催となりました。

 本式典では、「国連水と衛生に関する諮問委員会」名誉総裁である皇太子殿下のお言葉に続き、太田国土交通大臣、石原外務大臣政務官が基調講演を行うとともに、持続開発な開発目標に関するハイレベルパネル、世界水発展報告書の発表式、国連「命のための水(Water for Life)」大賞授賞式などが行われ、水とエネルギーに関する議論がなされました。

(イ)世界気象機関(WMO)における取組

 我が国は、WMOの全球気象監視計画(WWW)、世界気候計画(WCP)、大気研究・環境計画(AREP)などを通じた地球環境保全のための取組に積極的に参画しました。2012年(平成24年)10月に開催された世界気象会議(WMO総会)2012年臨時会合において、我が国も策定に参画してきた、気候サービスのための世界的枠組み(GFCS)の実施計画が承認され、また、気候サービスのための政府間委員会の設立が決まりました。また、気象庁はWMOの地域気候センター(RCC)を運営しており、2012年(平成24年)11月には天候監視情報作成に関する研修セミナーを開催するなど、アジア地区内の気候情報の利用促進と能力向上等について貢献しました。

(ウ)経済協力開発機構(OECD)における取組

 我が国は、2012年(平成24年)1月からOECD環境政策委員会の副議長を務めるなど、OECD環境政策委員会及び関連作業部会の活動に積極的に参加しています。

(エ)主要国首脳会議(G8サミット)における取組

 2013年(平成25年)6月にイギリスで開催されたG8ロック・アーン・サミットでは、気候変動が議題として取り上げられました。G8首脳は、気候変動を増大する地球規模の経済及び安全保障上のリスクに寄与する要因として認識し、国際的な気候政策と持続可能な経済発展は互いに補強しあうものであることを想起しつつ、この課題及び関連するリスクにより良く対応するための手段を検討することで一致しました。

(オ)アジア・太平洋地域における取組

a 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)

 2013年(平成25年)5月に、北九州市において第15回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM15)を開催し、各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題、環境協力に係る三カ国共同行動計画の進捗等について意見交換を行い、大気汚染について新たに三カ国による政策対話を設置すること等に合意しました。また、日中韓三カ国環境大臣会合の枠組の下で、日中韓環境産業円卓会議、日中韓合同環境研修、日中韓環境教育ネットワークにおけるシンポジウム等のプロジェクトを実施しました。

b 日ASEAN閣僚級環境協力対話及びASEAN+3(日中韓)環境大臣会合

 2013年(平成25年)9月に、インドネシア・スラバヤにおいて第12回ASEAN+3環境大臣会合が開催されました。また、あわせて初めての日ASEAN閣僚級環境協力対話を開催しました。これらの会合では、2013年(平成25年)5月に石原環境大臣が発表した「途上国の“一足飛び”型発展の実現に向けた支援方策」を紹介するとともに、同年5月の日中韓三カ国環境大臣会合で合意された、アジアにおける大気汚染対策のための地域協力強化についても議論を行いました。

c 北東アジア環境協力プログラム(NEASPEC)

 北東アジア地域環境協力プログラム第18回高級実務者会合(NEASPEC SOM18)が2013年(平成25年)11月にモンゴルのウランバートルで開催され、「国境地域の自然保全」、「越境大気汚染」や「グリーン開発」等をテーマとして議論を行いました。

d その他の取組

 2013年(平成25年)6月に、ベトナム・ハノイにおいて「第22回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催し、アジア太平洋地域(13か国)及び国際機関等(14機関)から49名の緩和・適応分野における測定・報告・検証(MRV)、適応分野におけるモニタリング・評価(Monitoring and Evaluation: M&E)の担当官や専門家、気候変動交渉等に係る行政官が参加し、同地域における緩和分野のMRVと適応分野の&Eについて議論を行いました。

(カ)クリーンアジア・イニシアティブ

 環境と共生しつつ経済発展を図り、持続可能な社会の構築を目指すクリーンアジア・イニシアティブの理念のもと、さまざまな環境協力を戦略的に展開しています。

a アジアEST(環境的に持続可能な交通)地域フォーラム

 2013年(平成25年)4月にインドネシア・バリにおいて第7回アジアEST地域フォーラムを開催し、アジア地域23か国等から参加した代表と、ESTに関する政策、先進事例等の共有を図りました。また、第5回会合において示された「バンコク宣言2020」を補完するものとして「バリ宣言」が採択されました。

b 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)

 2013年(平成25年)12月に、タイのチョンブリにおいて第15回政府間会合が開催され、EANETの対象範囲の拡大を含む将来発展に関する検討が行われました。

c アジア水環境パートナーシップ(WEPA:Water Environment Partnership in Asia)

 2014年(平成26年)1月に日本において第9回年次会合及び公開セミナーを開催し、各国の産業排水管理や生活排水対策に関する現状と課題に関する情報共有・意見交換を行いました。

d アジア水環境改善モデル事業

 我が国企業による海外での事業展開を通じ、アジア等の水環境の改善を図ることを目的に、2011年度(平成23年度)よりアジア水環境改善モデル事業を実施しています。平成25年度は、対象を大洋州に拡大し、過年度に実施可能性調査を実施した3件(インドネシア、中国、ベトナム)の現地実証試験を実施したほか、新たに公募により選定された民間事業者が、ソロモン諸島(環境配慮型トイレ普及事業)やベトナム(染色産業排水処理事業)の実施可能性調査を実施しました。

e アジア・コベネフィット・パートナーシップ

 2010年(平成22年)11月に創設された「アジア・コベネフィット・パートナーシップ」において、アジアの途上国における環境汚染対策と温室効果ガス排出削減を同時に効率的に推進するための方策検討に積極的に参画するとともに、専用ウェブサイトを活用し、コベネフィット・アプローチの普及啓発に取り組みました。

f アジア諸国における石綿対策技術支援

 2014年(平成26年)3月にラオスに行政・技術専門家を派遣し、石綿対策に関する情報の提供を行いました。

g 日本モデル環境対策技術等の国際展開

 日本の環境対策・環境測定技術を、規制・制度・人材などとパッケージにしてアジア諸国へ普及・展開することを目的として、中国、ベトナム及びインドネシアにおいて、環境対策技術等に関する共同政策研究、ワークショップ等の協力事業を実施しました。また、こうした協力事業の成果をアジア諸国において共有する取組、アジア諸国で必要とされている環境対策技術等の情報を国内事業者に提供する取組を実施しました。

イ 二国間の枠組みによる連携

(ア)中国

 日中環境保護協力協定に基づき、これまでに10回の日中環境保護合同委員会を開催し、日中それぞれの環境政策及び廃棄物、大気汚染、生物多様性、気候変動対応等における環境協力の推進について、幅広く意見交換を行っています。

 大気分野については、2007年(平成19年)12月に、両国の環境大臣間での合意により開始した、環境汚染対策と温室効果ガスの排出削減の双方に資するコベネフィット協力について、2011年(平成23年)4月には、協力の第2フェーズに係る覚書に合意し、中国第12次五ヶ年計画の大気汚染物質削減目標に資する協力を進めました。さらに、中国での窒素酸化物の総量削減に資するため、2009年度(平成21年度)から窒素酸化物削減手法や評価に関する共同研究を実施しており、2011年度(23年度)からは湖北省武漢市を対象として、NOx削減対策技術を導入するモデル事業を開始しています。

 水分野については、2011年(平成23年)4月に両国環境大臣間で締結された覚書に基づき、農村地域等におけるアンモニア性窒素等総量削減モデル事業を実施しており、山東省威海市及び四川省徳陽市のモデル施設が完成したほか、浙江省嘉興市においても新たに事業に着手しました。

(イ)インドネシア

 2007年(平成19年)12月に両国の環境大臣間で締結したコベネフィット協力に関する共同声明に基づき協力を実施してきたところですが、2011年(平成23年)9月に協力の第2フェーズに係る文書に署名し、農産業分野を対象とした協力を進めるための調査研究、また実証事業を行いました。

 また、同年11月25日、日本国政府とインドネシア政府との間で両国間の気候変動分野における具体的な協力とさらなる対話の促進が重要との認識の下、森林保全、JCM、測定・報告・検証(MRV)の強化、低炭素成長の実現等における協力を謳った二国間協力文書が合意され、両国の間で具体的な施策に関する協議を進めました。その後、2013年(平成25年)8月26日には、JCMに関する二国間文書への署名が行われ、同制度を正式に開始することとなりました。

 さらに、2012年(平成24年)12月には、包括的な環境協力のさらなる強化のため、両国大臣が「日本国環境省とインドネシア共和国環境省の間の環境協力に関する協力覚書」に署名しました。2014年(平成26年)2月には、本覚書に基づき、第1回日本・インドネシア共和国環境政策対話を開催し、二国間環境協力を一層推進することに合意しました。

(ウ)インド

 2014年(平成26年)1月、安倍総理とシン首相との首脳会談が行われ、共同声明「日インド戦略的グローバル・パートナーシップの強化」において、JCMに関する協議を継続することを共有しました。

(エ)ベトナム

 我が国が有する知見を活用し環境保護法改正を支援するため、環境法の専門家派遣等を実施しています。

 2013年(平成25年)7月2日、日本国政府とベトナム政府との間でJCMに関する二国間文書への署名が行われ、同制度を正式に開始することとなりました。

 また、同年12月に日本国環境省とベトナム社会主義共和国天然資源環境省の間の環境協力に関する協力覚書が署名されました。今後は、本覚書に基づき、気候変動、水質汚濁、大気汚染等の分野において、両国間の環境協力を深化させることとしています。

(オ)モンゴル

 2012年(平成24年)12月6日、両国の環境大臣が「環境協力・気候変動・二国間クレジット制度に関する共同声明」に署名しました。その後、2013年(平成25年)1月8日には、他国に先駆けてJCMに関する二国間文書への署名が行われ、同制度を正式に開始することとなりました。

 2013年(平成25年)7月29日、モンゴル・ウランバートルで第8回日本・モンゴル環境政策対話が開催され、気候変動、大気汚染及びエコツーリズムに関する協力をはじめとする両国の環境協力を一層推進することが合意されました。

(カ)韓国

 日韓環境保護協力協定に基づき2013年(平成25年)12月18日、韓国・ソウルで第16回日韓環境保護協力合同委員会を開催し、気候変動への対応、生物多様性の保全、域内の大気・海洋汚染に関する共同対応、海洋ごみ削減の協力などについて意見交換を行いました。

ウ 環境と貿易

 我が国は、2013年(平成25年)7月に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に正式に参加しました。「環境」分野では、貿易・投資促進のために環境基準を緩和しないこと、環境規制を貿易障壁として利用しないことなどについて議論を行いました。また、欧州連合(EU)、カナダ、コロンビア等との経済連携協定(EPA)、中国・韓国との自由貿易協定(FTA)等の多国間の枠組みにおいて、適切かつ戦略的な環境配慮の確保に努めました。

エ 海外広報の推進

 海外に向けた情報発信の充実を図り、報道発表の英語概要を逐次掲載しました。また、英語版広報誌の刊行、「Japan Annual Report on the Environment, the Sound Material-Cycle Society and the Biodiversity 2013」(英語版環境・循環型社会・生物多様性白書)等海外広報資料の作成・配布やインターネットを通じた海外広報を行いました。

(2)開発途上地域の環境の保全

 我が国は政府開発援助(ODA)による開発途上国支援を積極的に行っています。環境問題は、「政府開発援助大綱」において、「地球的規模の問題への取組」の中で「重点課題」として位置付けられています。

 さらに、ODAを中心とした我が国の国際環境協力については、平成14年に表明した「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(EcoISD)」において、環境対処能力向上や我が国の経験と科学技術の活用等の基本方針の下で、地球温暖化対策、環境汚染対策、「水」問題への取組、自然環境保全を重点分野とする行動計画を掲げています。平成24年においては、環境分野の国際協力として6,648万800万ドルの支援を行いました。

ア 技術協力

 独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて、我が国の技術・知識・経験を生かし、開発途上国の社会・経済の開発の担い手となる人材の育成や、課題解決能力の向上といった環境分野における技術協力を行っています。具体的には、研修員の受入れ、専門家の派遣(ベトナム・インドネシア等)、また、それらと機材供与を組み合わせた技術協力プロジェクト、さらに政策立案や公共事業計画策定の支援を目的とした協力(開発計画調査型技術協力)などを行っています。

イ 無償資金協力

 無償資金協力は、居住環境改善(都市の廃棄物処理、上水道整備、地下水開発、洪水対策など)、地球温暖化対策関連(森林保全、クリーン・エネルギー導入)等の各分野において実施されています。

 また、草の根・人間の安全保障無償資金協力についても貧困対策に関連した環境分野の案件を積極的に実施しています。

ウ 有償資金協力

 有償資金協力(円借款・海外投融資)は経済・社会インフラへの援助等を通じ開発途上国が持続可能な開発を進める上で大きな効果を発揮します。環境関連分野でも同様であり、上下水道整備、大気汚染対策、地球温暖化対策等の事業に対しても、JICAを通じて、積極的に円借款・海外投融資を供与しています。

エ 国際機関を通じた協力

 我が国は、UNEPの環境基金、UNEP国際環境技術センター技術協力信託基金等に対し拠出を行っており、また、我が国が主要拠出国及び出資国となっている国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アジア開発銀行等の国際機関も環境分野の取組を強化しており、これら各種国際機関を通じた協力も重要になってきています。

 地球環境ファシリティ(GEF)は、開発途上国等で行う地球環境保全のためのプロジェクトに対して、主として地球環境益に資する増加コストに対する資金を供与する国際的資金メカニズムです。我が国はアメリカに次ぐ世界第2位の資金拠出国として、実質的な意思決定機関である評議会の場等を通じ、GEFの活動に積極的に参画しました。

 また、気候変動に係る長期資金を支援するための緑の気候基金(GCF)理事会における基金設計の議論に積極的に貢献しています。

2 調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等

(1)戦略的な地球環境の調査研究・モニタリングの推進

 「環境研究総合推進費」制度の一環として、海外の研究者を招へいして日本の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の枠組み等を活用し、継続して調査研究等の充実、強化を図りました。

 監視・観測については、UNEPにおける地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関(WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)合同海洋・海上気象専門委員会(JCOMM)の活動、全球気候観測システム(GCOS)、全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加して実施しました。さらに、「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」を推進するための国際的な枠組みである地球観測に関する政府間会合(GEO)において、2008年(平成20年)11月まで執行委員会国を務めるとともに、GEOの専門委員会である構造及びデータ委員会の共同議長を務めるなど、GEOの活動に積極的に参加しました。GCOSの地上観測網の推進のため、世界各国からの地上気候観測データの入電状況や品質を監視するGCOS地上観測網監視センター(GSNMC)業務や、アジア地域の気候観測データの改善を図るためのWMO関連の業務を、各国気象機関と連携して推進しました。

 気象庁は、WMOの地域気候センター(RCC)を運営し、アジア太平洋地域の気象機関に対し基礎資料となる気候情報やWEBベースの気候解析ツールを引き続き提供しました。さらに、アジア太平洋地域の気象機関を対象にした研修を実施するなど、域内各国の気候情報の高度化に向けた取組と人材育成に協力しました。

 また、超長基線電波干渉法(VLBI)やGPSを用いた国際観測に参画するとともに、験潮、絶対重力観測等と組み合わせて、地球規模の地殻変動等の観測・研究を推進しました。

 さらに、東アジア地域における残留性有機汚染物質(POPs)の汚染実態把握のため、これら地域の国々と連携して環境モニタリングを実施しました。

(2)国際的な各主体間のネットワーキングの充実・強化

 低炭素社会の実現に向けた研究を促進するための世界の研究機関で構成されるネットワークである「低炭素社会国際研究ネットワーク」(LCS-RNet)、及びアジア太平洋地域の研究機関で構成される「低炭素アジア研究ネットワーク」(LoCARNet)では、2013年(平成25年)7月に日本(横浜)において、それぞれ第5回年次会合、第2回年次会合が開催されました。それぞれの年次会合では、低炭素成長に関する優良事例や経験、知識の共有を一層進めるべきであること、またそのために能力構築が重要であることなどの認識が共有されました。

 また、アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)を他の国際機関等との連携により支援し、アジア太平洋地域の気候変動適応に関する政策立案者及び決定者・実施者に対する能力強化等の活動の強化を推進しました。さらに、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、アジア太平洋地域における特に開発途上国の地球変動研究の推進を積極的に支援しました。神戸市のAPNセンターを中核として、気候変動や生物多様性に関する国際共同研究などを支援し、地域内諸国の研究者及び政策決定者の能力向上に大きく貢献しました。特に気候変動緩和分野では、上記LoCARNetと、適応分野ではAPANとの連携を推進しました。

 また、国連や各国と連携して地球環境の現状を把握するための地球全陸域の地理情報を整備する「地球地図プロジェクト」を主導しました。本プロジェクトには167か国・16地域が参加しており、110か国・8地域分のデータが公開されています(平成26年3月31日現在)。さらに、東アジアをリアルタイムでカバーできる温暖化影響観測ネットワーク網の構築によりアジアの環境影響評価を行うとともに、アジア太平洋環境経済統合モデル(AIMモデル)を用いて、アジア各国(中国、インド等)において各国が自ら現状の政策を踏まえた将来の社会環境変化を予測するためのシナリオを構築する能力開発を協力して行いました。

3 民間団体等による活動の推進

 経済成長著しいアジアで活動を展開しようとする我が国企業が、優れた環境技術・サービスの積極的な海外展開を通じた国際協力を推進することを目的とし、アジアの低炭素発展に向けた企業向け情報提供サイトや、国際環境協力に関する企業の先進事例を紹介したウェブサイトなどを開設しています。

 「アジア低炭素発展に向けた情報提供サイト」 http://www.env.go.jp/earth/coop/lowcarbon-asia/index.html(別ウィンドウ)

 「環境CSR推進のための国際情報サイト」 http://www.env.go.jp/earth/coop/eco-csrjapan/index.html(別ウィンドウ)