環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第5節 科学的基盤を強化し、政策に結びつける取組

第5節 科学的基盤を強化し、政策に結びつける取組

(1)生物多様性の総合評価

 国土全体の生物多様性の状態や変化の状況を示した生物多様性の評価地図を公表し、国や地方公共団体の政策決定のための基礎資料等として活用するとともに、地域での具体的な保全活動等への活用に向けた検討を行います。さらに、生物多様性に関する科学及び政策の連携の強化を目的として平成24年4月に設立された「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」における生物多様性と生態系サービスの評価活動も踏まえつつ、国内の生物多様性と生態系サービスの評価の実施に向け、情報基盤整備を含む取組を開始します。

(2)自然環境調査

 自然環境保全基礎調査の一環として、植生調査等、我が国の生物多様性に関する情報の収集整備を行います。植生調査では、縮尺2万5千分の1植生図の整備を引き続き進めます。また、海岸線及び海岸陸域の自然状態の変化状況を把握する調査を引き続き行います。

 モニタリングサイト1000では、高山帯、森林・草原、里地里山、陸水域(湖沼及び湿原)、沿岸域(砂浜、磯、干潟、アマモ場、藻場及びサンゴ礁)、小島嶼の各生態系について、生態系タイプごとに定めた調査項目及び調査手法により、引き続き合計約1,000か所の調査サイトでのモニタリング調査を実施します。

 また、動植物種の分布情報を効率的に収集・提供するために構築したウェブサイトを通じ、さまざまな関係機関・専門家・一般市民から情報の収集を行い、その結果を広く発信します。

(3)地球規模生物多様性モニタリングなど

 地球規模での生物多様性保全に必要な科学的基盤の強化のため、アジア太平洋地域の生物多様性観測モニタリングデータの収集・統合化等を推進する「アジア太平洋生物多様性観測ネットワーク(AP-BON)」への支援を引き続き行います。また、東・東南アジア地域での生物多様性の保全と持続可能な利用のための生物多様性情報整備と分類学能力の向上に貢献するための「東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ(ESABII)」において、当該地域で特に施策上重要と思われる生物多様性情報を整備するとともに、分類学の能力向上のための研修を引き続き実施します。AP-BON及びESABIIの活動は、IPBESの活動、特に科学評価活動及び能力構築活動とも連携を図り、アジア地域におけるIPBESの活動の推進に効果的に貢献することを目指します。

(4)研究・技術開発など

 独立行政法人国立科学博物館において、「日本海周辺域の地球表層と生物相構造の解析」、「日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究」などの調査研究を推進するとともに、約408万点の登録標本を保管し、これらの情報を引き続きインターネットで広く公開します。また、GBIF(地球規模生物多様性情報機構)の日本ノード(データ提供拠点) である独立行政法人国立科学博物館及び国立遺伝学研究所と連携しながら、引き続き生物多様性情報を国際的に提供します。さらに、さまざまな企画展や講座、体験教室など展示・学習支援活動を実施します。