環境大臣 |
多大な被害をもたらした東日本大震災から2年3か月が経ちました。しかしながら、今もなお被災した多くの方々が仮設住宅等での避難生活を余儀なくされており、様々な悩みを抱えておられます。こうした被災地の方々の思いに応えるべく、政府として全力で復旧・復興に取り組んでおります。放射性物質で汚染された地域の除染や汚染廃棄物・災害廃棄物の処理、放射線に係る健康管理・不安対策など、いずれの課題についても被災地の方々の声を聴きながら進めていきます。
一方で、低炭素社会の創出などこれまで環境行政が長年取り組んできた課題も引き続き重要です。原子力発電所の事故以来、残念ながら地球温暖化の問題は埋没しがちですが、低炭素社会を創出するために、再生可能エネルギーの導入加速化や最大限の省エネに取り組んでいく必要があります。さらに、自然共生社会や循環型社会の形成、安全・安心な生活環境の確保などの課題にも解決策を見いだしていくことが求められています。
このような状況を踏まえ、今年の環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書は、「真に豊かな社会を子供達へ~震災復興の中でともに考える持続可能な未来~」をテーマに掲げました。これは、当面の最重要課題である東日本大震災からの復旧・復興に取り組みながら、その先に、経済的な豊かさのみならず、自然環境や生活環境の豊かさも包含した持続可能で「真に豊かな社会」へと我が国の社会を変えていこう、というメッセージを込めたものです。この想いを込め、本白書では、「真に豊かな社会」の構築へとつながる取組として、東日本大震災からの復興のための除染や災害廃棄物の処理、環境保全を織り込んだグリーン復興の取組に加え、低炭素社会・自然共生社会・循環型社会の形成やグリーン経済の拡大などの取組について詳述しています。
また、もう一つのメッセージは、このようにして構築される「真に豊かな社会」を子供達や孫の世代に引き継いでいこうというものです。本白書では、未来を担う子供達を育てるため、学校や地域等の様々な主体が連携して進めている環境教育の取組を取り上げています。
本白書が、子供達に残すべき持続可能で「真に豊かな社会」のあり方を考える一助となれば幸いです。
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