第5節 土壌環境の保全対策

1 市街地等の土壌汚染対策

 土壌汚染対策法に基づき、有害物質使用特定施設が廃止された土地等の調査が実施されました。同法施行以降の調査件数は、平成21年3月31日現在、1,187件であり、調査の結果、指定基準を超過して指定区域に指定された件数は341件(うち174件はすでに汚染の除去等の措置が講じられ指定の全部の区域が解除)となっています。(図2-5-1


図2-5-1 土壌汚染対策法の施行状況

 平成21年4月に改正された土壌汚染対策法では、一定規模(3,000m2)以上の土地の形質変更時において土壌汚染のおそれがあるときの都道府県知事からの命令に基づく調査の実施、自主的な土壌汚染の調査結果を活用した土地所有者等による区域の指定の申請、区域の分類化(土地の形質変更時に届出が必要な区域と対策が必要な区域)と必要な対策内容の明確化、汚染土壌処理業の許可制度の新設による汚染土壌の適正な処理の確保などが新たに規定されました。(図2-5-2)。また、低コスト・低負荷型の調査・対策技術の普及を促進するための調査、土壌汚染に係るリスクコミュニケーションを推進するための調査等を行いました。


図2-5-2 改正土壌汚染対策法の概要

 (ダイオキシン類による土壌汚染対策については、第4章参照。)

2 農用地土壌汚染対策

 基準値以上検出等地域7,487haのうち平成20年3月末現在までに6,577ha(72地域)が農用地土壌汚染対策地域として指定され、そのうち6,306ha(70地域)において農用地土壌汚染対策計画が策定され、6,544ha(進ちょく率87.4%)で対策事業が完了しました。なお、カドミウム汚染地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、汚染米の発生防止のための措置が講じられています。また、農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等の開発、実証及び普及を実施しました。

 また、厚生労働省において、米のカドミウムの成分規格の改正について検討が進められていることを踏まえ、平成21年11月に環境大臣は中央環境審議会に対し「カドミウムに係る土壌環境基準(農用地)及び農用地土壌汚染対策地域の指定要件等の見直し」について諮問しました。本諮問については、土壌農薬部会に新たに設置された農用地土壌環境基準等専門委員会及び農用地土壌小委員会において審議が行われ、平成22年3月の土壌農薬部会において答申案が示されました。



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