第3節 環境保全上健全な水循環の確保

1 水環境に親しむ基盤作り

 住民が水辺環境に関心を持ち、生活の中で水と人との関係を考えていくことができる基盤づくりや、自発的に環境保全活動に参加できる環境づくりの施策を展開します。特に、身近な水辺空間の再生・創造により、住民による自発的な水環境保全活動を支援します。

 本年7月に環境問題が主要議題の一つとして開催されることが予定されている北海道洞爺湖サミットにちなみ、水環境保全の一層の推進を図ることを目的に、地域の生活に溶け込んでいる清澄な水や水環境のなかで、特に、地域住民等による主体的かつ持続的な水環境の保全活動が行われているものを、現在の「名水百選」に加え、新たな名水、「平成の名水百選」を選定します。

 また、地域住民の参加を得て、全国の河川において水生生物による簡易水質調査を推進するとともに、市民団体と協働して、身近な水環境の一斉調査を実施します。

 さらに、河川水質を、[1]人と河川の豊かなふれあいの確保、[2]豊かな生態系の確保、[3]利用しやすい水質の確保、[4]下流域や滞留水域に影響の少ない水質の確保、の4つの視点で総合的に分かりやすく評価する新しい指標に基づき、全国109水系で一般市民の参加を得て、調査を実施します。

 新世代下水道支援事業制度水環境創造事業により、雨水渠等の下水道施設や下水処理水を活用したせせらぎ水路などの水辺空間の再生・創出を推進します。

2 環境保全上健全な水循環の確保

 水質汚濁に係る環境基準の項目、基準値、水域類型の指定及び見直しに関し、必要な調査検討を行います。さらに、水環境保全施策を有効適切なものとして機能していくよう、最新の知見を踏まえ、水環境の目標や効果的な監視手法等について検討を行います。環境基準の達成・維持に向け、地下水の水質保全対策を推進します。また、流域別下水道整備総合計画等水質保全に資する計画を策定し、効率的な汚濁負荷削減施策を推進します。

 水質面のみならず、水量、水生生物、水辺地を含めた総合的な取組を進めるため、引き続き水循環に関する調査、連携の在り方や施策の推進方策等についての検討を行います。特に水環境の悪化している河川や湖沼において、市町村や地域住民等の取組と一体となって清流回復を図る河川事業、下水道や浄化槽、農業集落排水施設等の生活排水処理施設整備事業、流入する農業用用排水路等の水質を浄化する水質保全対策事業を重点的に実施します。水循環の調査では、モデル流域での実態解明のほか、水循環の悪化による問題発生の実態の調査を全国的に行い、総合的な調査を進めるとともに、必要なデータ・知見の整備を進めつつ、環境保全上健全な水循環計画の策定など流域単位の取組を推進・支援します。また、湧水の保全・復活活動の支援のための方策について検討を行います。

 「健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議」では、健全な水循環系の構築に向けた施策の推進のため、引き続き情報や意見の交換及び施策相互の連携や協力の推進を図ります。また、地域の地下水管理や保全計画の支援のための「地下水管理手法」の検討や新たな社会的ニーズに対応した「環境用水の確保方策」の検討なども引き続き行います。

 河川、湖沼における自然浄化能力の維持・回復のための、水質、水生生物等の生息環境、水辺地植生等の保全、水量の確保、都市域における水循環再生構想の策定を行います。下水処理水等の効果的な利用や雨水浸透ますの設置等により適正な地下浸透を進めるとともに、森林の適切な管理・保全や、自然海岸、干潟藻場、浅海域の適正な保全や人工干潟・海浜の整備の推進等を通じ、環境保全上健全な水循環機能の維持・回復を推進します。

 琵琶湖・淀川流域圏の再生計画に基づき、特定非営利活動法人(以下「NPO」という。)等の活動団体で構成する「琵琶湖・淀川流域圏連携交流会」と関係行政機関で構成する「琵琶湖・淀川流域圏再生推進協議会」とが連携し、琵琶湖・淀川の生態系の保全・再生や健全な水循環系再生等、流域全体での一体的な取組を引き続き推進します。

 地域の湧水を保全・復活させるための活動を推進するため、引き続きモデル地域における調査、検討を行います。



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