第2節 閉鎖性水域における水環境の保全

 水質汚濁防止法等に基づく排水規制、下水道や浄化槽、農業集落排水施設等生活排水処理施設の整備や住民参加等による生活排水対策、河川及び農業用用排水路等における浄化対策や流量の確保等の各種の施策を総合的に実施します。

 湖沼については、湖沼水質保全特別措置法に基づく「湖沼水質保全計画」の策定されている琵琶湖や霞ヶ浦等11湖沼について、同計画に基づき、各種規制措置のほか、下水道及び浄化槽の整備その他の事業を総合的・計画的に推進します。また、水質浄化機能を確保するための湖辺植生の適正な管理手法の確立等を図ります。さらに、閉鎖性水域等における既存の単独処理浄化槽の浄化槽への転換については、単独処理浄化槽の撤去を交付金の対象とする措置の拡充により推進します。また、閉鎖性水域における窒素及びりんの削減を図るため、引き続き閉鎖性水域に係る流域別下水道整備総合計画の見直しを推進します。富栄養化対策としては、海域も含めて、富栄養化等の状況の把握及び窒素・りんの発生源対策に関する調査を行います。このほか、水質悪化が著しい湖沼においては、底泥からの栄養塩類の溶出等を抑制するため、底泥しゅんせつを実施するとともに、湖沼に流入する汚濁負荷の削減を図るため、流入河川における直接浄化施設、農業用用排水路等における浄化施設の整備を実施します。また、湖沼の自然環境と地域のつながりを再生し、湖沼における水位操作や水辺エコトーンの再生により水質改善を図る新たな取組を実施します。

 東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては、平成19年6月に関係都府県により策定された第6次水質総量規制に係る総量削減計画に基づき、化学的酸素要求量(COD)、窒素及びりんを対象とした水質総量規制を引き続き実施します。また、今後の閉鎖性海域が目指すべき水環境の目標とその達成に向けたロードマップを明らかにする閉鎖性海域中長期ビジョンの策定に向けた検討を行います。瀬戸内海については、瀬戸内海環境保全特別措置法及び「瀬戸内海環境保全基本計画」等に基づき、水質や、自然景観の保全等の諸施策を引き続き推進します。有明海及び八代海については、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律に基づき、また、平成18年12月の有明海・八代海総合調査評価委員会報告の提言を踏まえつつ、貧酸素水塊発生対策、底質改善、汚濁負荷の削減その他の当該海域の環境の保全及び改善のための施策、水産資源の回復等による漁業の振興のための施策等を引き続き推進します。

 平成19年6月に閣議決定された21世紀環境立国戦略において、今後1、2年で重点的に着手すべき環境政策として明記された、多様な魚介類等が生息し、人々がその恩恵を将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな豊穣の「里海」については、先進的な取組を実施している海域を支援・評価し、創生支援マニュアルを作成することで創生を推進します。

 港湾及びその周辺海域においては、環境モニタリング等による汚染原因解明のための調査、赤潮・貧酸素水塊対策、汚泥しゅんせつ、覆砂干潟藻場の創出、環境整備船による浮遊ごみ・油の回収など総合的な水質改善に取り組みます。

 都市再生プロジェクト(第3次決定)「海の再生」の実現に向けて、東京湾、大阪湾及び伊勢湾においてそれぞれの再生行動計画に基づき、関係機関との連携のもと、陸域からの汚濁負荷の削減、海域における環境改善、環境モニタリング等の各種施策を推進していきます。さらに、広島湾においても「全国海の再生プロジェクト」として、三大湾と同様に行動計画に基づき、多種施策を推進していきます。

 また、三重県英虞湾(あごわん)では、水産基盤整備事業によりしゅんせつを行い、漁場環境の改善を図ります。



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