第2節 光化学オキシダント対策

1 光化学オキシダント緊急時対策

 都道府県では、大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下「大防法」という。)に基づき、光化学オキシダントの濃度が高くなり、被害が生ずる恐れがある場合に、光化学オキシダント注意報等を発令しています。その際には、ばい煙排出者に対する大気汚染物質排出量の削減及び自動車使用者に対する自動車の走行の自主的制限を要請するほか、住民に対する広報活動と保健対策を実施しています。また、全国28か所の地方気象台等では、必要に応じスモッグ気象情報を発表して国民への周知を図りました。さらに、南関東を対象に数値予報モデルを活用して詳細なスモッグ気象情報を発表する改善を実施しました。

 加えて、環境省では光化学オキシダントによる被害を未然防止するため、「大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)」により、都道府県等が測定している光化学オキシダント注意報等発令情報をリアルタイムで収集し、これらのデータを広域地図情報等に加工し、インターネット等で一般に公開しています(http://soramame.taiki.go.jp/)。

2 揮発性有機化合物排出抑制対策

 揮発性有機化合物は光化学オキシダントの主な原因物質の一つであり、その排出削減により、光化学オキシダントによる大気汚染の改善が期待できます。

 揮発性有機化合物の排出抑制対策については、大防法に基づく排出規制や事業者の自主的な取組を適切に組み合わせて実施しています。

3 光化学オキシダント濃度上昇要因に関する検討

 平成19年7月に、学識経験者等による検討会を設置し、光化学オキシダント濃度の上昇要因等について、既存の知見に基づき検討するとともに、今後必要とされる調査研究等の方向性について明らかにすることとしました。検討会において、収集整理した既存の最新の知見及び当面取り組むべき課題を、中間報告として、平成19年12月に取りまとめました。

4 国際的な取組

 東アジア地域においては、近年の経済成長等に伴い光化学オキシダント原因物質の排出量が増加しており、我が国の大気環境への影響が懸念されています。このため、平成19年12月に開催された「第9回日中韓三カ国環境大臣会合」において、日中韓三カ国で光化学オキシダントによる汚染メカニズムの解明や共通理解の形成に資するよう、科学的な研究について協力することを提案し、合意されました。



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