第6節 森林の保全と持続可能な経営の推進

 世界の森林減少は、地球温暖化及び生物多様性の損失に深刻な影響を与えています。この森林減少を抑制するためには、持続可能な森林経営を実現する必要があります。

 平成4年の地球サミットで、森林原則声明及びアジェンダ21が採択され、それ以降、世界の森林と持続可能な経営に関する国際的な議論が行われています。

 我が国は、持続可能な森林経営の進ちょく状況を客観的に把握・分析・評価するための「基準・指標」を定める取組として、欧州以外の温帯林・北方林を対象とした「モントリオール・プロセス」に参加しており、平成19年1月より事務局を務めるなど、積極的に取り組んでいます。

 平成19年4月にニューヨークで開催された国連森林フォーラムUNFF)第7回会合では、森林面積の増加など平成27年までの4つの世界的目標の達成及び持続可能な森林経営の推進のための方策等を盛り込んだ「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を有さない文書(NLBI)」及びNLBIの確実な実行に向けた多年度作業計画(MYPOW)が採択されました。

 平成19年11月に横浜で開催された第43回国際熱帯木材機関ITTO)理事会では、木材生産国の森林法の執行能力の強化を推進することなどを盛り込んだ平成20年から21年の事業計画が採択されたほか、持続可能な森林経営を促進するための数多くの事業や活動が承認されました。

 同じく平成19年11月に横浜で開催されたアジア森林パートナーシップAFP)第7回会合では、森林減少の抑制及び森林面積の増加などを主要テーマとするAFP第IIフェーズを平成20年から開始することが決定されました。

 また、持続可能な森林経営の実現を阻害する要因の一つとして近年特に問題視されている違法伐採については、平成10年のバーミンガム・サミット以降、国際的な議論が行われてきました。

 我が国では、平成18年4月から、違法伐採対策として、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号。以下「グリーン購入法」という。)により、合法性が証明された木材・木材製品を政府調達の対象とする措置を実施しています。

 また、森林減少に伴う二酸化炭素の排出量は、世界全体の温室効果ガスの排出量の約17%を占め、温暖化対策の観点からも森林減少を防止することが極めて重要との認識から、先進国と途上国の双方に森林保全の活動を促すための仕組み作りについて、世界銀行を中心に検討が進められ、平成19年12月にバリで開催された気候変動枠組み条約第13回締約国会議において、「森林炭素パートナーシップファシリティ(FCPF)」の設立が表明されました。日本からも同ファシリティに資金拠出を行うことを表明しており、この活動を支援していくこととしています。

 上記の取組のほか、ITTO国連食糧農業機関FAO)等の国際機関への拠出、国際協力機構JICA)等を通じた協力、民間団体の植林活動等への支援、熱帯林における生態系管理に関する研究等を行いました。



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