第4章 廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策


第1節 概要

現代の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動の仕組みを根本から見直し循環型社会を構築するため、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)では、廃棄物・リサイクル対策は、第一に廃棄物等の発生抑制(リデュース)、第二に使用済製品、部品等の適正な再使用(リユース)、第三に回収されたものを原材料として適正に利用する再生利用(マテリアルリサイクル)、第四に熱回収(サーマルリサイクル)を行い、それでもやむを得ず循環利用が行われないものについては適正な処分を行うという優先順位を念頭に置くこととされています(ただし、環境負荷等の観点からこの順によらない場合もあります。)。同法に基づく「循環型社会形成推進基本計画」では、日本が目指す循環型社会の具体的イメージ、数値目標、各主体が果たすべき役割等について定められており、同計画に基づいて廃棄物・リサイクル対策を総合的かつ計画的に推進しています。平成18年度には、同計画に基づく施策の進ちょく状況の第3回目の点検結果を取りまとめました。

1 廃棄物・リサイクルの現状


(1)一般廃棄物の現況
日本では、平成元年度以降毎年年間約5,000万トンの一般廃棄物が排出されています。排出量は12年度以降継続的に減少しており、16年度は、総排出量5,059万トン(15年度5,161万トン)、国民1人1日当たり1,086g(同1,106g)となっています。
一般廃棄物については、市町村が定める処理計画に沿って処理が行われていますが、市町村が行った処理のうち、直接焼却された割合は77.5%(同78.1%)となっており、焼却以外の中間処理(破砕・選別による資源化、高速堆肥化等)及び再生業者等に直接搬入される量の割合は19.0%(同18.3%)となっています。最終処分量は809万トンで、前年度に比べ36万トン減少しました。

(2)産業廃棄物の現況
全国の産業廃棄物の総排出量については、ここ数年ほぼ横ばいですが、平成16年度は約4億1,700万トンと前年度に比べ約1.3%増加しています。種類別では汚泥、動物のふん尿、がれき類が全体の81%を占めており、また業種別にみると、農業、電気・ガス・熱供給・水道業、建設業がそれぞれ約20%を占めています。産業廃棄物処理業者の許可件数は年々増加しており、16年度末時点で23万5,000件です。
処理状況については、再生利用量は約2億1,400万トン(51%)、減量化量は約1億7,700万トン(43%)、最終処分量は約2,600万トン(6%)で、再生利用率が前年度の49%より増加し、最終処分量は前年度の約3,000万トンより大幅に(約400万t)減少するなど、リサイクルや中間処理が一層進んできていることがうかがえます。
最終処分場の残余年数については、平成17年4月時点で全国平均7.2年で、依然として厳しい状況にあります。

(3)回収・再生利用の推進
市町村による資源化と住民団体による集団回収を合わせたリサイクル率(再生利用のための回収率)は、平成16年度は17.6%(15年度16.8%)となり、着実に上昇しています。

2 廃棄物等のリデュース(発生抑制)

廃棄物等の発生を抑制するため、資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号。以下「資源有効利用促進法」という。)に基づき、事業者による製品の省資源化・長寿命化を図る設計・製造や修理体制の充実等の発生抑制(リデュース)の推進に努めました。
また、産業構造審議会廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定・フォローアップ等を行い、包装材使用量の削減、製品の長寿命化や含有される有害物質の段階的な削減等の事業者による自主的な取組を促進しました。
さらに、平成18年6月には、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号。以下「容器包装リサイクル法」という。)の一部改正法が成立し、容器包装廃棄物の排出抑制を促進するための措置等が導入されました。
一般廃棄物については、ごみ処理の有料化を進めるに当たっての留意事項に関する考え方や、検討の進め方についてのガイドラインを取りまとめ、有料化に取り組む市町村を支援しました。また、容器包装廃棄物のリデュースを促進するため、レジ袋等の使用削減に向けた自主協定等を進める地域モデル事業等を実施しました。
このほか、廃棄物等の発生の少ない製品や環境への負荷の少ない製品の優先的な購入を進めるため、国等の公的機関が率先してグリーン購入を推進するとともに、国民の生活様式の見直し、使い捨て製品の使用の自粛等を促進するための普及啓発を行いました。

3 循環資源の適正な循環的な利用の推進


(1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律について
廃棄物処理法に基づく再生利用認定制度については、平成18年度までに、一般廃棄物63件、産業廃棄物46件の認定を行いました。
また、同法に基づく広域認定制度については、18年度までに、一般廃棄物63件、産業廃棄物104件の認定を行いました。

(2)資源有効利用促進法について
資源有効利用促進法に基づき、複写機の製造における再生部品の使用や自動車、オートバイ、パソコン、ぱちんこ遊技機等の3R(リデュース、リユース、リサイクル)配慮設計等の推進に取り組みました。また、自動車用バッテリーリサイクルの再構築については、中央環境審議会と産業構造審議会の合同の検討会で平成17年に取りまとめられた報告書を踏まえ、事業者による自主的取組についての実務的検討に対する支援を行いました。さらに、産業構造審議会製品3Rシステム高度化ワーキング・グループの報告書に基づき、希少性・有用性を持つ特定の化学物質の情報をライフサイクルの各段階で管理できるよう、家電・パソコンの製造事業者等に対して情報提供を求める措置を設けました。
このほか、事業者の自主的な取組を促進することを目的として、産業構造審議会廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定・フォローアップ等を行いました。

(3)容器包装リサイクル法について
容器包装リサイクル法に基づき分別収集を実施する市区町村数及び分別収集量等の一層の拡大を図るべく、制度の着実な施行に取り組みました。また、再商品化義務を履行しない事業者に対して指導等を行い、いわゆるただ乗り事業者対策を実施しました。
さらに、平成18年6月には、1)循環型社会形成推進基本法における3R推進の基本原則に則った循環型社会の推進、2)社会全体のコストの効率化、3)国・自治体・事業者・国民等すべての関係者の協働を基本的方向とした同法の一部改正法が成立しました。
このほか、容器包装廃棄物の3Rを推進するため、容器包装廃棄物の3Rに資する優れた製品・取組に対する環境大臣賞の創設を通じた普及啓発や、リターナブル容器導入促進のためのモデル事業等を実施しました。

(4)家電リサイクル法について
家電リサイクル法に基づき、廃家電4品目(エアコン、ブラウン管テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機)について、消費者による適正な排出と費用の負担、小売業者による排出者からの引取りと製造業者等への引渡し、製造業者等による小売業者などからの指定引取場所における引取りと家電リサイクル施設における再商品化等を推進しました。平成17年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は、1,162万台に達しています。
また、同法第10条に基づく引渡義務違反が判明した小売業者に対し、第16条第1項に基づく勧告等を行うとともに、このような小売業者の引渡義務違反を防止し、同法の遵守を図るため、全国の小売業者に対して、製造業者等への適切な引渡し及び家電リサイクル券による管理の徹底等について周知徹底を行いました。
なお、同法は、平成18年4月に施行後5年が経過し、附則に定められた検討の時期を迎えたことから、同年6月より中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合において、制度の評価・検討を行っています。

(5)建設リサイクル法について
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)の円滑な施行を図るため、「建設リサイクル推進計画2002」に基づき、18年6月に「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」を策定するなど各種取組を推進しました。
さらに、新たな建設リサイクル推進計画の策定を視野に入れ、平成19年1月、社会資本整備審議会・交通政策審議会に「建設リサイクル推進施策検討小委員会」を設置して、議論を行っています。

(6)食品リサイクル法について
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号)に基づく食品関連事業者等の再生利用等の実施を確保するとともに、これらの円滑な取組を確保するため、登録再生利用事業者制度等の措置を活用した優良なリサイクル業者の育成等を推進しました。
また、食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、企業や国民に対する普及啓発、優良な食品リサイクルの取組を認証するための仕組みやルールづくり、食品廃棄物を含むバイオマス利活用を図ろうとする地域に対する施設整備の支援等を実施しました。
さらに、同法は施行後5年が経過し、附則に定められた見直し時期を迎えたことから、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会食品リサイクル専門委員会、食料・農業・農村政策審議会総合食料分科会食品リサイクル小委員会の合同会合において制度の評価検討を行いました。審議会での検討結果を踏まえ、食品関連事業者に対する指導監督の強化と、食品関連事業者が農畜産物等の利用を含めた循環型の再生利用事業計画を作成し、主務大臣の認定を受けた場合には、廃棄物処理法の特例を拡大する等の措置を盛り込んだ「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を第166回国会に提出しました。

(7)自動車リサイクル法について
自動車リサイクル法が平成17年1月に本格施行され、関係団体と協力して一般の自動車所有者への理解促進・普及啓発を図りました。
平成17年度には約3,952万台のリサイクル料金が預託され、約305万台が使用済自動車として引き取られ、適正処理・リサイクルが実施されました。
また、使用済自動車の引き渡しに支障が生じている離島市町村のうち、申し出を受けた70市町村に対して、引き渡しに必要な費用に対する支援事業を実施しました。

(8)バイオマス・ニッポン総合戦略の推進
平成18年3月に閣議決定された新たな「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、各種施策を推進しました。具体的には、情報提供やシンポジウムの開催等を通じた国民的理解の醸成、バイオマスタウン構想の策定支援、新技術等を活用したバイオマス利活用施設の整備に対する支援等を実施しました。また、バイオマスプラスチックの利活用を促進するため、技術開発、普及啓発、導入実証等の取組をモデル事業として実施しました。特に国産バイオ燃料については、安倍総理から、大幅な生産拡大について関係府省一体となって取り組むようにとの指示を受け、関係府省(1府6省)から成る「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議」において技術や制度面の課題を整理し、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表を作成しました。

(9)エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法について
エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(平成5年法律第18号)に基づき、リデュース・リユース・リサイクル対策、特定フロン対策、海外で行われるエネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制事業に対する支援を実施しました。

(10)都市再生プロジェクトの推進
都市再生プロジェクトとして推進している「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」に向けて、首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会では、廃棄物の減量化目標の達成、廃棄物処理・リサイクル施設の整備、静脈物流システムの構築等を内容とする中長期計画を策定し、毎年、その進ちょく状況の点検及び新たな課題の検討等のフォローアップを行っており、首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会においては、中長期計画の見直しのための検討を行いました。また、中部圏ゴミゼロ型都市推進協議会において、中長期計画の取りまとめを行いました。

(11)総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組
循環型社会の実現を図るため、広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流の拠点となる港湾を総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)に指定し、官民連携の推進、港湾施設の整備など総合的な支援策を講じており、リサイクルポート相互の連携、エコタウンとの連携強化を図るとともに、信頼性と効率性の高い国際循環資源物流の形成に向けて、リサイクルポートを新たに3港指定しました(指定後は全国21港)。

(12)ゼロ・エミッション構想の推進
地域における資源循環型社会経済構築の実現に向けて、関係各省が連携して、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しています。平成19年1月までに全国26地域のエコタウンプランを承認しました。

(13)その他の取組について
下水道事業で発生する汚泥については、緑農地利用や建設資材利用などによる汚泥の有効利用を推進しており、平成17年度には約70%(汚泥発生時乾燥重量ベース)の下水汚泥がリサイクルされています。
農業集落排水事業においては、処理過程で発生する汚泥について、コンポスト化や建設資材利用等によるリサイクルを推進するとともに、地域の実情に応じて余剰汚泥の減容化を進めました。
さらに、水産系副産物の貝殻を増養殖場の造成に活用するための調査を行うとともに、漁港及び漁場の整備に活用する「水産系副産物活用推進モデル事業」を実施しました。
畜産業において発生する家畜排せつ物については、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成11年法律第112号。以下「家畜排せつ物法」という。)に基づき、適正な管理の徹底・有効利用を促進するため、家畜排せつ物処理施設等の整備を行うとともに、地域の状況に応じたたい肥の利活用モデルの普及を推進しました。

4 廃棄物の適正な処理の推進


(1)一般廃棄物対策
廃棄物の3Rを推進するための目標を設定し、広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進する「循環型社会形成推進交付金制度」により、熱回収施設、高効率原燃料回収施設、汚泥再生処理センター、埋立処分地施設、リサイクルセンター等の一般廃棄物処理施設の整備を図りました。このほか、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業に対して補助を行いました。
生ごみ等のバイオマス系廃棄物は、飼料・たい肥などへの再生利用や熱・電気に転換するエネルギー利用の可能性があります。循環型社会及び脱温暖化社会の実現を目指すため、平成17年9月から生ごみ等の3R・処理のあり方について検討を行い、「生ごみ等の3R・処理の目指すべき方向と政策手段」として取りまとめました。
また、廃エアゾール製品等については、廃エアゾール製品等の適正処理及びリサイクルの促進に向けた業界と市町村の取組に関する合意(平成18年2月)に基づき、中身排出機構の装着やカセットコンロのヒートパネル化の推進、市町村への廃エアゾール製品簡易処理機の譲与等を行いました。さらに、消費者に対し中身排出機構を使用し、充填物を出し切ってから排出すること等の情報提供、普及啓発に取り組みました。

(2)産業廃棄物対策
産業廃棄物の処理については、排出事業者責任の徹底を図ると同時に、排出事業者が優良な処理業者を選択できる条件を整備するため、産業廃棄物処理業の優良化を推進するための事業を行いました。都道府県等が許可更新等の際に一定の基準を満たすことを確認する「優良性評価制度」においては、平成19年3月末現在、適合件数323件、適合事業者数で105事業者が都道府県等により評価基準適合の確認を受けています。さらに一部の自治体では、許可更新等の時期によらず随時評価基準の適合確認を受け付ける制度を実施しており、適合件数264件、適合事業者数86事業者と順調に増えています。
また、不適正処理事案に迅速な対応が可能なため普及拡大が求められている電子マニフェストについては、IT戦略本部で取りまとめられた「IT新改革戦略」(平成18年1月)において電子マニフェストの普及率を50%にするとの目標が掲げられたことから、普及・促進に計画的・総合的に取り組みました。
全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、平成17年度の投棄件数は558件、投棄量は17.2万トンで前年度より減少しました。しかし、依然として20万トン近い水準で推移していることを踏まえ、5年間で大規模事案(5,000トンを超えるもの)を撲滅することを当面の目標とした「不法投棄撲滅アクションプラン」(平成16年)により産業廃棄物の不法投棄対策を進めています。
不法投棄の早期発見・拡大防止のために、都道府県等との連携を強化するなど監視体制の強化を図るとともに、現場調査等に精通した専門家チームを地方公共団体が行う立入検査等の現場に派遣し、地方公共団体職員のスキルアップを図る不法投棄事案対応支援事業を行いました。
不法投棄等された産業廃棄物に起因する生活環境保全上の支障の除去等については、廃棄物処理法に基づき、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金(産業廃棄物適正処理推進センターの基金)から、支障の除去等を行う都道府県等に対して財政支援を行いました。
また、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するため、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号。以下「PCB特別措置法」という。)に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」により、北海道室蘭市において拠点的広域処理施設の整備を進めるとともに、北九州市、愛知県豊田市及び東京都及び大阪市での処理を進めています。

(3)アスベスト廃棄物対策
廃棄物処理法の改正により、建築物の解体等に伴い今後多量に発生すると予測されている石綿を含む廃棄物の適正処理の確保のため、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物について高度な技術を用いて無害化する処理を行う者を個々に環境大臣が認定し、認定を受けた者について廃棄物処理業及び施設設置に係る許可を不要とする制度を設けました。

(4)廃棄物の処理における環境配慮
港湾における廃棄物処理対策として、29港において廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施しました。その他、資源のリサイクルの促進のため、首都圏の建設発生土を全国の港湾建設資源として広域的に有効活用するプロジェクト(スーパーフェニックス)を6年度に開始し、18年度は広島港、徳島飛行場において建設発生土の受入れを実施しました。

5 国際的循環型社会構築への取組


(1)3Rイニシアティブの推進
2005年(平成17年)に開催された3Rイニシアティブ閣僚会合のフォローアップとして、2006年(平成18年)3月には、3Rイニシアティブ高級事務レベル会合が東京で開催され、各国の良好事例を参加国・国際機関の間で共有するなどの成果があり、我が国はアジア地域で3Rを推進していくことを提案しました。それを受け、同年10月には、東京でアジア3R推進会議を開催し、アジアで3Rを推進していくことの重要性を共有しました。

(2)有害廃棄物の越境移動の規制
有害廃棄物等の越境移動に起因する環境汚染等の問題に対処するため、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(以下「バーゼル条約」という。)並びにその国内担保法である特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年法律第108号。以下「バーゼル法」という。)及び廃棄物処理法に基づき、必要な規制を行いました。バーゼル条約の締約国は平成19年3月現在で168か国及びEC(欧州委員会)であり、おおむね2年ごとに開催される締約国会議において内容の充実や見直し等が進められています。また、18年のバーゼル法に基づく輸出入の施行状況は金属回収を目的に輸出17,357トン、輸入4,314トンとなっています。
近年は、アジア各国の急速な経済成長による資源需要の増大等を背景に、循環資源の国際移動も活発化しており、我が国から輸出された廃棄物等による環境汚染が懸念されていることから、廃棄物等の不適正輸出入を防止するために国内の諸機関や各国の政府機関と連携して対策を講じました。
国内においては、廃棄物等の輸出入に係る事前相談や立入検査など廃棄物等の不法輸出入を防止するための現場対応の充実を図りました。廃棄物の無確認輸出を抑止するため、廃棄物処理法の改正により罰則の強化等を行いました。また、税関と定期的に意見交換会を行うなど、連携の強化に努めています。さらに、輸出入事業者等への関係法制度の周知及び情報提供のため、バーゼル法等説明会を全国約10か所で開催しました。また各国の輸出入規制情報をウェブサイトに掲載しています。
国際的には、有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワークを活用し、参加国間で各国の関係制度や不適正事案等に関する活発な情報交換を行っています。また、アジア太平洋地域のE-wasteを環境上適正に管理するためのバーゼル条約事務局が進めるプロジェクトについて、支援を行いました。


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