2 環境影響評価の実施
(1)環境影響評価法に基づく環境影響評価
環境影響評価法(平成9年法律第81号)は、道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所、埋立・干拓、土地区画整理事業等の面的開発事業のうち、規模が大きく、環境影響が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価の手続の実施を義務付けています(図7-5-1)。同法に基づき、平成18年3月末までに161件の事業が手続を開始し、そのうち、17年度においては、14件が新たに手続を完了しており(表7-5-1)、社会資本整備における環境配慮の徹底が図られました。
(2)環境影響評価の適切な運用への取組
環境影響評価に係る技術手法の向上、改善のための検討を行うとともに、環境影響評価における住民等の意見の収集を効果的かつ効率的に行う手法の検討を行いました。また、平成17年3月に行った基本的事項の改正を踏まえ、事業の種類ごとに定められた主務省令について、所要の改正を行いました。
さらに、国・地方公共団体等の環境影響評価事例や制度及び技術の基礎的知識の提供による環境影響評価の質及び信頼性の確保を目的として、環境影響評価の実施に際して必要となる情報等を集積し、インターネット等を活用した国民や地方公共団体等への情報支援体制の整備を進めました。
(3)地方公共団体における取組
都道府県・政令指定都市の多くは、条例や要綱による独自の環境影響評価手続を設けていましたが、環境影響評価法の制定等を背景に、制度の見直しが活発に行われ、平成17年度末現在、ほぼすべての都道府県及び政令指定都市において環境影響評価条例が公布・施行され、さらに知事意見を述べる際の審査会等第三者機関への諮問や事業者への事後調査の義務付けを導入しています。
対象事業については環境影響評価法対象の規模要件を下回るものに加え、廃棄物処理施設やスポーツ・レクリエーション施設、畜産施設、土石の採取、複合事業なども対象としており、さらに環境基本法に規定されている「環境」よりも広い範囲の「環境」の保全を目的とし、埋蔵文化財、地域コミュニティの維持、安全などについても評価対象にするなど、地域の独自性が発揮されています。
また、個別の事業の計画・実施に枠組みを与えることになる計画(上位計画)や政策における環境配慮については、東京都では、計画段階において環境アセスメントを義務付けるための条例改正が行われ、埼玉県では戦略的環境影響評価実施要綱、広島市では多元的環境アセスメント実施要綱、京都市では計画段階環境影響評価要綱が制定されました。これらの条例等に基づき、戦略的環境アセスメントが複数の事例に適用されています。
(4)個別法等に基づく環境保全上の配慮
港湾法(昭和25年法律第218号)、公有水面埋立法(大正10年法律第57号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、総合保養地域整備法(昭和62年法律第71号)、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和33年法律第98号)、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和39年法律第145号)等に基づいて行われる事業の認可、計画等の策定等に際し、環境保全の見地から所要の検討を行いました。