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第10節 

2 利用のための施設の整備

 (1)国立公園の利用施設
三位一体の改革に伴い、平成17年度から国立公園の保護及び利用上重要な公園事業は国の直轄事業として実施することとしました。このため17年度は全国28の国立公園において、国立公園の核心となる特にすぐれた自然景観を有する地域における自然の保全や復元のための整備、自然学習や自然探勝のためのフィールドの整備、滞在型及び高齢者・障害者対応型の公園利用を推進することによる地域の再活性化を図るための総合的な施設の整備、歩道、野営場、園地、公衆トイレ等利用の基幹となる施設の整備を進めました。

(2)国定公園等の利用施設
三位一体の改革に伴い、平成17年度から従来の自然公園等整備費国庫補助金を廃止し、地方の創意工夫を活かした自然と共生する地域づくりを推進するための自然環境整備交付金を創設しました。このため、17年度には、34都道府県において実施される自然環境整備計画に位置付けられた国定公園の整備、国指定鳥獣保護区における自然再生事業及び長距離自然歩道の整備について自然環境整備交付金を交付しました。

(3)長距離自然歩道の整備
自然公園や文化財を有機的に結ぶ長距離自然歩道について、平成17年度においても引き続き、北海道、東北、首都圏、東海、近畿、中部北陸、中国、四国、九州の各長距離自然歩道において四季を通じて安全で快適に利用できるよう配慮しつつ整備を進めました。長距離自然歩道の計画総延長は約26,000?に及んでおり、16年には、6,066万人が長距離自然歩道を利用しています。

(4)森林の多様な利用の推進
主として都市近郊等における保健保安林等の安全快適な利用の促進を図るための施設整備につき助成等を行ったほか、保健保安林等を対象として防災機能、環境保全機能等の高度発揮を図る共生保安林整備事業を推進しました。また、国民が自然に親しめる森林環境の整備を行う森林空間総合整備事業等につき助成しました。
国有林野については、自然休養林等のレクリエーションの森において、森林及び施設の整備等を行うとともに、利用者にレクリエーションの森の整備等への協力を求める「森林環境整備事業」を推進しました。また、スポーツ施設、保健休養施設等の総合的な整備により、人と森とのふれあいの場を創造し、あわせて地域の振興等に資するヒューマン・グリーン・プランを推進するとともに、家族等が気楽に自然とふれあえる場を提供する「森林ふれあい基地づくり整備モデル事業」を推進しました。さらに、国民が中心となった森林の整備等の活動の場として「ふれあいの森」の設定を推進するとともに、貴重な環境指標であり、次世代に残すべき遺産として選定した国有林野内の巨樹・巨木100本(「森の巨人たち百選」)の保護を図るための地域の取組に対する支援を行いました。
また、森林環境教育、林業体験学習の場となる森林・施設の整備、学校林の整備・活用とモデル学校林の設定、民間団体等の企画力や教育手法を活用した山村滞在型の森林・林業体験交流活動等や森林体験学習、人材育成等を推進するとともに、子どもたちの入門的な森林体験活動を促進する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を実施しました。
さらに、森林総合利用施設等において、年齢や障害の有無にかかわらず多様な利用方法の選択肢を提供するユニバーサルデザイン手法の導入を図るとともに、里山林等を活用した健康づくりを行う「健康と癒しの森」の体制整備を推進しました。また、国有林においては、フィールドを学校等の体験学習の場として利用できる「遊々の森」の設定を推進しました。

(5)独立行政法人国立少年自然の家
国立少年自然の家は、少年を自然に親しませ、団体宿泊訓練を通じて、少年が心身を鍛練するとともに、自ら実践し、創造する態度を身につけることを目的とする青少年教育施設であり、全国14か所に設置されています。平成17年度は、施設の整備や事業の充実を図りました。

(6)海岸などへのふれあい施設
生物の生息・繁殖場所となる砂浜、干潟などの保全や創出を行う「エコ・コースト事業」を26か所で実施しました。

(7)河川等へのふれあい施設
河川の高水敷やダム周辺等を公園、緑地、運動場等に利用するための整備を「水系環境整備事業」等により行いました。カヌーポートや水辺の楽校等の整備により、水辺での活動を促進し、親水レクリエーションの促進を図りました。

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