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第1節 

1 人口減少に伴う環境の変化

 今日の環境負荷の増大は、日常の生活と経済活動の拡大が一因となっています。このため、人口が減少することによって、資源やエネルギーの消費の減少をもたらすことから、長期的には環境負荷の低減に一定の効果があると考えられます。
しかし、短期的には人口減少が直ちに環境負荷の低減をもたらすとまでは、必ずしもいえないことが分かります。例えば、ここ数年の47都道府県の人口増加率と、ごみ総排出量の増加率(図1-1-1)、使用電力量の増加率(図1-1-2)をそれぞれ比較すると、いずれも人口減少とごみ総排出量や使用電力量の変化に相関性は見られません。これは、社会構造や価値観・ライフスタイルの変化、経済活動の進展などが人口減少による環境負荷の低減分を打ち消していることによるものと考えられます。





また、人口減少は、労働力人口や消費者数の減少などを要因として、経済成長の鈍化や財政の悪化をもたらす可能性があると一般的にいわれています。これにより、環境保全のための投資や支出が減少し、環境技術の開発力や環境効率性が低下することも考えられます。
このように、人口減少に伴って人口構成の変化や経済社会の急激な変化は環境にも影響を及ぼす可能性があり、「人口減少に伴って環境負荷が低減し、環境が良くなる。」との考えは必ずしも妥当でないと考えられます。

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