2 調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等
(1)戦略的な地球環境の調査研究・モニタリングの推進
平成16年4月の東京での第2回地球観測サミットで採択された地球観測10年実施計画の枠組み文書、また17年2月の欧州での第3回地球観測サミットで採択された実施計画をもとに、日本における地球観測システムの構築を推進します。また、16年12月に総合科学技術会議により取りまとめられた「地球観測の推進戦略」に基づき、関係府省の連携の下、地球観測を積極的に推進します。
統合地球観測戦略(IGOS)パートナーシップにおいて、現在、8つの「テーマ」(海洋、大気化学、炭素循環、水循環、陸域災害、沿岸/サンゴ礁、雪氷圏、陸域)のもと、全球海洋観測及び全球水循環観測等が実施段階となっており、熱帯降雨観測衛星(TRMM)及び米国地球観測衛星(Aqua)の改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)等による観測データを活用し、積極的に国際的な観測・監視計画に貢献します。
WMO温室効果ガス世界資料センターとして全世界の温室効果ガスのデータ収集・管理・提供業務を、WMO品質保証科学センターとしてアジア・南西太平洋地域における観測データの品質向上に関する業務を、さらにWMO全球大気監視較正センターとしてメタン等の観測方法などについての国際的な統一を図る業務を引き続き実施します。さらに、黄砂に関する情報の発表を継続するとともに、平成17年度からの有害紫外線に関する情報発表の開始に向けて、体制を整えます。
全球気候観測システム(GCOS)等が推進する気候変動の検出、影響監視等のための総合的な観測システム構築に積極的に参加するほか、世界の地上月気候値気象通報(CLIMAT報)のリアルタイム収集やその品質などを監視するGSN監視センター(GSNMC)の業務をドイツ気象局と共同で実施しています。
アジア太平洋気候センターを通じて、アジア太平洋地域各国気象機関に対し基盤的な気候情報を引き続き提供するとともに、その内容の改善と拡充を図っていきます。また、気候業務に関する研修・ワークショップ等の開催を通じて、域内各国の人材育成に協力していきます。
さらに、VLBIや、GPSによる国際共同事業に参画し、グローバルな地殻変動等を観測するほか、これと験潮・絶対重力観測等を組み合わせて地球規模の海面変動の監視等を推進します。
化学物質についても、東アジア地域における残留性有機汚染物質(POPs)の汚染実態の把握を目的としたモニタリングの連携を引き続き推進強化します。
(2)国際的な各主体間のネットワーキングの充実、強化
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の枠組みを活用し、平成11年に神戸市内に開設したAPNセンターを中核として、地域内の研究活動等の支援を積極的に行います。特に、日本がヨハネスブルグ・サミットにおけるパートナーシップ・イニシアティブの一つとして提唱した「持続可能な開発のための科学的能力向上プログラム(CAPaBLE)」を着実に推進します。
また、アジア地域の国家地図作成機関と協力し、引き続きアジア地域の地球地図を整備・提供します。さらに、国連アジア太平洋地図会議の決議に基づき、アジア太平洋地域の各国と協力しつつ、引き続き基盤的地理情報の整備、国際共同観測プロジェクト等を推進していきます。
また、アジア太平洋環境イノベーション政略プロジェクト(APEIS)については、第IIフェーズを開始し、持続可能な開発に資する政策オプションの研究を推進します。このほか、アジア太平洋気候センターを通じて、アジア太平洋地域各国気象機関に対し基盤的な気候情報を引き続き提供するとともに、その内容の改善と拡充を図っていきます。また、気候業務に関する研修・ワークショップ等の開催を通じて、域内各国の人材育成に協力していきます。