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第7節 

4 海岸・港湾・海洋

(1)港湾及び漁港・漁場における環境の整備
 漁港漁場整備長期計画に基づき、昭和50年代初頭の沿岸域の漁場環境に回復させることを目標として、重要な漁場であるとともに資源生産の場としての機能や水質の浄化等のさまざまな機能を有している藻場・干潟を保全・創造し海洋の環境を改善するため、漁港区域内の水域における汚泥・ヘドロの除去・覆砂等を行う水域環境保全対策等を推進するほか、藻場・干潟の造成、底質改善等を「水産基盤整備事業」にて実施します。また、磯焼け海域における藻場や機能の低下した干潟の生産力回復のモデル事業を実施します。海水交換機能を有する防波堤、水産動植物の生息、繁殖が可能な防波堤等の整備並びに砂浜の再生に資する漁港の整備など、自然調和・活用型の漁港漁場づくりを積極的に展開します。また、漁港及び周辺水域の水質浄化に資する漁業集落排水施設の整備の促進を図るとともに、水産資源の回復に資する漁港施設整備について調査を行います。
 漁場環境の改善、水産資源の持続的利用に係る技術開発として、閉鎖性汽水域の底質・水質改善技術、海洋深層水の活用による海域の肥沃化技術、二枚貝資源の増殖支援技術等の開発を行い、実海域等における適合可能性や効果等を検証する実証事業を行います。
 自然環境と調和し、アメニティ豊かな環境と共生する港湾(エコポート)の実現を促進し、自然再生型公共事業として、港湾整備事業から発生する良質土砂等を活用して、多様な生物の生息地である干潟・藻場等の保全・再生・創出を計画的に行います。また、廃棄物処分場跡地等を活用し、臨海部において大規模な緑地の整備を行います。自然砂浜の再生等を行うことにより、良質な水辺・沿岸環境を整備するなど、より幅広くかつ効果的な取組を推進します。これらの実施に当たっては、アダプティブマネジメント(順応的管理手法)を積極的に導入しつつ、事業の計画づくりから維持管理までのさまざまな段階において、地域住民や民間団体等の多様な主体の参画を図るとともに、国土技術政策総合研究所、(独)港湾空港技術研究所等による世界最大規模の干潟実験施設の観測や現存干潟の現地調査等を通じて干潟や生態系の研究と連携して行います。
 平成13年12月に都市再生プロジェクトとして決定された「臨海部における緑の拠点の形成」については、自然と共生する社会の実現に向けた自然再生型公共事業の一環として、大阪湾尼崎臨海部、同堺臨港部において大規模緑地を整備し、東京港中央防波堤内側においては大規模緑地整備の実施に向けて検討を行います。また、親水性に富む港湾緑地等の整備を引き続き行うとともに、歴史的港湾施設の保存活用と周辺の環境整備を一体的に進める「歴史的港湾環境創造事業」及び良好な港湾景観の形成を促進する「港湾景観形成モデル事業」を実施します。マリーナ、ボートパーク等を整備し、地域でさまざまな問題を発生させている放置艇の解消を進めるとともに、地方公共団体や民間団体等と連携し、マリーナを拠点とした環境教育活動等の取組を推進します。

(2)海岸における環境の整備
 砂浜の保全・復元により生物の生育・生息地を確保しつつ、景観上もすぐれた人と海の自然のふれあいの場を整備する「海岸環境整備事業」を実施します。

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