3 河川
(1)河川とダム
河川環境に関する基礎情報の収集整備のため、河川並びにダム湖及びその周辺における生物の生息状況の調査を行う「河川水辺の国勢調査」を実施します。また、河川環境に関する専門的知識を有する地域の方々の参加を得て、きめ細かな河川環境の管理に資する「河川環境保全モニター制度」を実施します。また、自然環境に配慮した河川管理の取組として、世界最大規模の実験河川を有する自然共生研究センター等において、河川湖沼の自然環境保全・復元のための研究を実施します。
河川環境管理基本計画の策定を推進し、自然環境の保全に配慮するとともに、地域住民と連携しながら渡り鳥等の生物の良好な生息・生育環境を有する自然河川や、湿地・干潟などの再生を進めていきます。良好な潤いのある水辺空間の保全並びに形成等を図る「水系環境整備事業」等を実施します。治水上の安全性を確保しつつ、多様な河川環境を保全し、環境を改変せざるを得ない場合でも最低限の改変にとどめ、良好な自然環境の復元が可能となるように川づくりを行う「多自然型川づくり」、河川横断施設とその周辺の改良、魚道の設置等により魚類の遡上環境の改善を行う「魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業」等を踏まえ、全国の河川において魚類の生息環境改善を実施します。また、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に基づき、河川環境に配慮した災害復旧を実施します。
都市再生本部において、第三次決定プロジェクトに位置付けられた「水循環系の再生」については、河川の再生(河岸の再自然化、河畔林の整備、水質の改善等)、市街地の雨水貯留・浸透機能の回復等、各領域の施策を総合的に推進することによりその再生を図ります。
ダム貯水池において整地、法面保護、緑化対策等を図り、ダム湖の活用や親水性の向上を図ったり、ダム下流の河川環境の回復を図るため、「水系環境整備事業」を創設し、実施します。
(2)砂防設備周辺等
土砂災害の防止の実施に当たり、生物の良好な生息・生育環境を有する渓流・里山の環境等を保全・再生するため、NPO等と連携した山腹工などにより、里地里山などの多様な自然共生型の砂防事業を推進します。また、土砂災害の防止とあわせて、すぐれた自然環境や社会的環境を持つ地域等の渓流において、自然環境との調和を図り、緑と水辺の空間等の生活環境の整備、又は、景観・親水性の向上や生態系の回復等を図り良好な渓流環境の再生や歴史的価値を有する砂防設備の活用を踏まえた周辺環境整備など、個々の渓流の特色を活かした砂防事業を展開します。さらに、山麓斜面が市街地に隣接する都市においては、山麓斜面にグリーンベルトとして一連の樹林帯の形成等を実施し、無秩序な市街化の防止や都市周辺に広がる緑のビオトープ空間の創出に寄与します。
がけ崩れ対策においては、貴重な緑の空間である斜面環境・景観を保全しつつ安全度を向上するため、既存樹木を活用した緑の斜面工法による斜面整備崩壊土砂を捕捉する緩衝樹林帯整備を推進します。
(3)総合的な土砂災害
河川環境等の面から土砂移動について配慮が必要であり、山地部から海岸までの土砂の運動領域を「流砂系」という概念で捉え、ダム堆砂の進行、河床低下、海岸侵食等の土砂管理上の問題が顕在化している流砂系において、砂防、ダム、河川、海岸の各領域が連携を図り、土砂の量と質に関するモニタリング等の取組を実施します。