2 産業廃棄物対策
産業廃棄物の処理は排出事業者責任において行うことが原則であり、排出事業者責任の徹底を図っています。これと同時に排出事業者が優良な処理業者を選択できる条件を整備するため、産業廃棄物処理業の優良化を推進するための事業を行うとともに、不適正処理事案に迅速に対応するため、電子マニフェストの普及促進に計画的・総合的に取り組んでいます。また、平成15年及び16年の廃棄物処理法の改正により、不法投棄の罰則や監視の強化を図りました(詳細は本節3参照)。
全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、平成15年度の投棄件数は894件で前年度に引き続き減少しました。一方、投棄量は、16年3月に発覚した岐阜市における約56.7万tの事案を含め全体で約74.5万tとなり、平成5年度の調査開始以来最大となりました。(図4-4-1)。このように産業廃棄物の不法投棄の状況が依然として厳しいことを踏まえ、16年6月に公表した「不法投棄撲滅アクションプラン」では、5年間で大規模事案(5,000tを超えるもの)を撲滅することを当面の目標として、産業廃棄物の不法投棄対策を進めています。
不法投棄の早期発見・拡大防止のためには、監視体制の強化を図ることが重要であることから、都道府県等の監視体制強化等に対する経費を助成するとともに、地方環境対策調査官事務所においてIT機器等を活用した新たな監視手法の運用を行いました。また、現場調査等に精通した専門家チームを、地方公共団体が行う立入検査等の現場に派遣し、地方公共団体職員のスキルアップを図る不法投棄事案対応支援事業を行いました。一方、軽油の密造に伴い排出される硫酸ピッチの不適正処分については、廃棄物処理法を改正し、硫酸ピッチを指定有害廃棄物として基準に合致しない保管や処分等について直罰を課すことができるようにしました。また、軽油密造に関する地方税法改正も踏まえ、関係機関との連携の強化、情報の共有化を図りました。
不法投棄等された産業廃棄物に起因する生活環境保全上の支障の除去等については、廃棄物処理法に基づき、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金(産業廃棄物適正処理推進センターの基金)から、支障の除去等を行う都道府県等に対して財政支援を行っています。
また、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するため拠点的な処理施設の立地について、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号。以下「PCB特別措置法」という。)に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」を策定するとともに、北九州市、愛知県豊田市、東京都、北海道室蘭市及び大阪市において拠点的な処理施設の整備事業が具体化されました。