3 地盤環境の現状
地盤沈下は、工業用、水道用、農業用等のための地下水の過剰な採取により地下水位が低下し、粘土層が収縮するために生じます(表3-1-4)。代表的な地域における地盤沈下の経年変化は、図3-1-6に示すとおりであり、平成15年度までに、地盤沈下が認められている主な地域は37都道府県61地域となっています。
近年の地盤沈下の特徴を挙げると次のようになります。
1) 平成15年度における年間2cm以上沈下した地域は6地域で、沈下した面積(沈下面積が1km2以上の地域の面積の合計)は3km2であり、昭和53年度の調査開始以降、地域数・沈下面積ともに最少でした。年間4cm以上沈下した地域は1地域、沈下した面積は1km2未満でした(表3-1-5)。
2) かつて著しい地盤沈下を示した東京都区部、大阪市、名古屋市などでは、地下水採取規制等の対策の結果、地盤沈下の進行は鈍化あるいはほとんど停止しています。しかし、千葉県九十九里平野など一部地域では依然として地盤沈下が認められています。
3) 長年継続した地盤沈下により、多くの地域で建造物、治水施設、港湾施設、農地及び農業用施設等に被害が生じており、海抜ゼロメートル地域などでは洪水、高潮、津波などによる甚大な災害の危険性のある地域も少なくありません。