3 市民団体によるしくみづくり
環境保全活動に取り組む市民団体の中には、専門性を生かしてさまざまな提案や提言を行っている団体もあります。「環境NGO総覧」によると、環境NGOのうち「政策提言」を活動形態とする団体は17.7%となっています(図2-5-1参照)。
地域で活動する市民団体の中には、地域における環境保全についてさまざまな提案や提言を行っている例が見られます。さらに、国レベルにおいても、国際交渉や政策立案過程での提言等の活動が専門的能力を有する団体により行われており、市民団体による政策提言の役割はますます重要になりつつあります。
また、市民団体がその専門性を生かして行う、環境改善活動等のさまざまな取組は、一人ひとりにライフスタイルの転換を促すことに加えて、環境配慮が世の中に広がるしくみづくりにも寄与しています。
(1)政策提言や世論形成
NPO法人気候ネットワークは、地球温暖化防止を主たる目的に、政策提言、国際交渉への参加・働きかけ、情報発信等を行っています。国への政策提言として、京都議定書の削減約束である6%削減を達成するための、国内の効果的な政策や具体的な手法等を提案しています。また、炭素税の早期導入に向けた研究・提言活動も行っています。
国際交渉、国際世論形成への活動として、気候変動枠組条約締約国会議にスタッフやメンバーを派遣し、継続した監視、分析、アピール等を通じて政府や世論、国際社会に対して、脱温暖化社会が構築されるよう働きかけています。
(http://www.jca.apc.org/kikonet/)
(2)しくみづくりへの寄与
NPO法人環境市民は、環境に配慮された製品やサービスを選択し購入する「グリーン購入」を行う消費者を育てる運動に取り組んできました。平成3年、環境市民の前身団体の一つ「ごみ問題市民会議」は、京都市内の全スーパーの環境対策や環境に配慮した商品の品揃えを調べ、日本で最初の地域版買い物ガイドを発行し、その後の各地におけるガイド作成のきっかけとなりました。平成6年には、他の市民団体と協力し、全国版の買い物ガイドを出版し、グリーン購入の普及に取り組みました。
平成8年2月に、市民団体、企業、地方公共団体、環境庁(当時)、学識経験者等によって「グリーン購入ネットワーク(GPN)」が設立されましたが、環境市民は発足時から現在まで幹事を務め、現在は代表理事を務めています。このGPNの活動は、平成12年5月の国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法、平成12年法律第100号)の制定にもつながりました。市民団体の取組が国レベルのしくみづくりに寄与した事例です。(http://www.kankyoshimin.org/)