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第1節 

3 持続可能な社会を構築するために

 持続可能な社会を構築するためには、できるだけ無駄を削減し、あらゆる場面で環境保全に自発的に取り組む「人」を育成していくことが必要です。この「環境の人づくり」を進めることにより、家庭・企業・地域などのあらゆる場面で自主的に環境負荷を削減する「環」が広がることが期待されます。
 また、「人づくり」による環境保全の自主的な取組に加え、社会経済システムを環境に配慮したものへ転換させる「しくみづくり」も重要です。例えば、京都議定書目標達成計画においては、多様なしくみを活用していくため、「あらゆる政策手段を総動員して、効果的かつ効率的な温室効果ガスの抑制等を図るため、各主体間の費用負担の公平性に配慮しつつ、自主的手法、規制的手法、経済的手法、情報的手法など多様な政策手段を、その特徴を活かしながら、有効に活用する。」こととしています。自主的手法とは事業者などが自らの行動に一定の努力目標を設けて対策を実施する自主的な環境保全の取組のことです。規制的手法とは、個々の排出源からの削減の確実性を高め、フリーライダーを排除するとともに、健全な市場の形成に貢献します。経済的手法とは、市場メカニズムを前提とし、経済的インセンティブの付与を介して各主体の経済合理性に沿った排出抑制等の行動を誘導するものです。二酸化炭素の排出量又は化石燃料の消費量に応じて課税するものとして関係審議会等において論議されている環境税は、経済的手法の一つです。情報的手法とは、環境保全活動に積極的な事業者や環境負荷の少ない製品などを評価して選択できるよう、事業活動や製品・サービスに関して、環境負荷などに関する情報の開示と提供を進めることにより、各主体の環境に配慮した行動を促進しようとする手法です。
 このように環境負荷を削減していくためには、環境保全の「人づくり」と「しくみづくり」を効果的に実施することが必要です。持続可能な社会の実現を目指し、各主体において、それらの取組は一部で既に始まっています。第2節以降では、各主体の「人づくり」と「しくみづくり」の具体的なあり方を見ていきましょう。

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