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第8節 

1 自然とのふれあいの確保

(1)自然解説活動及び健全なふれあい利用の推進
 人々の自然への理解を深め、自然に対する愛情とモラルを育成するため、ビジターセンター等において、自然観察会等自然とふれあうための各種の活動を実施します。自然観察路等の自然とのふれあいのために整備した施設を活用し、「自然とふれあうみどりの日の集い」(4月29日)、「自然に親しむ運動」(7月21日〜8月20日)、「全国・自然歩道を歩こう月間」(10月)等を通じて、自然とのふれあいの機会を積極的に推進します。「自然に親しむ運動」の中心行事として日光国立公園(栃木県塩原町)において、第46回自然公園大会を開催します。
 自然公園の利用の適正化のため、自然公園指導員を委嘱するとともに、研修を実施し、利用者指導の充実を図ります。また、自然保護事務所においてパークボランティアの養成及びその活動に対する支援を行います。さらに、自然解説活動における指導者育成のためビジターセンター等の職員の研修を実施します。
 また、全国の国立公園等において、自然保護官(レンジャー)等の指導・協力の下、小中学生を「子どもパークレンジャー」に任命し、国立公園等のパトロールやマナーの普及、自然環境の維持・復元活動等に参加してもらう自然学習プログラムを実施する等、環境の大切さと社会貢献の心を学ぶ機会を提供します。
 国有林野においては、森林教室、体験セミナー等を通じて、森林とのふれあいを楽しみながら理解を深める森林倶楽部(森林ふれあい推進事業)等を実施します。
 子どもたちの川での活動を推進するためのプロジェクトや指導者の育成、情報発信を行うとともに、地域でのネットワーク形成等の拠点機能を形成するブロック連絡会議を6箇所で行います。漁場環境保全に関する情報の収集・提供及びボランティアによる海浜清掃活動の支援等を行います。
 国営公園においては、自然ガイドツアーや、環境・自然をテーマとした体験活動型のイベントを開催するなど、気軽に自然とふれあう機会を提供します。

(2)必要な施設の計画的な整備
ア 国立・国定公園等の整備
 二酸化炭素吸収源ともなる植生の復元、地球温暖化防止に資する自然エネルギーを活用した施設など、地球環境にやさしい施設(環境共生推進特別整備事業)を引き続き整備します。
 国立・国定公園の主要な利用拠点において、自然を活かした学習やゆとりのある滞在生活を通じ、誰もが親しみやすい形で自然に学ぶことができる質の高い場や機会を提供するための施設(自然学習環境整備事業)を引き続き整備します。
 国立・国定公園の核心となる特にすぐれた自然景観を有する広範な地域において、自然の保全や復元のための整備を一層強化するとともに、高度な自然学習や自然探勝のフィールドの面的な整備を行う「自然公園核心地域総合整備事業(緑のダイヤモンド計画)」を引き続き推進します。また、核心地域に準ずる利用拠点について、これからの時代にあった自然滞在型、個人行動型、高齢者・障害者対応型の公園利用への転換を行う「自然公園利用拠点新活性化事業」を実施します。
 さらに、歩道、野営場、園地等利用の基幹となる施設の整備を引き続き推進します。
イ 身近な自然地域の整備
 身近な自然を活用し、生き物とふれあい、自然の中で憩い、国民が自然との共生を実感できる拠点(1)ふるさといきものふれあいの里、2)ふるさと自然のみち、3)ふるさと自然塾、4)ふれあい・やすらぎ温泉地、5)ふるさと自然公園国民休養地)の整備を「ふるさと自然ネットワーク」として推進します。
ウ 自然歩道ネットワークの整備
 北海道自然歩道の整備を図るとともに、老朽化した東北、首都圏、東海、中部北陸、中国、四国、九州の各自然歩道の施設について再整備を行います。
 中高年等の登山ブームを背景に、登山者が集中して植生の荒廃や浸食を招いている特定山岳地域の登山歩道について、山岳地の景観と環境を守るとともに、山岳の雰囲気を壊さず山岳利用が行えるよう登山道及びその周辺の浸食防止工・植生回復工、安全確保等に不可欠な標識等の情報提供施設、駐車場等の整備を推進します。
エ 森林の多様な利用の推進
 都市近郊等における保健保安林等の指定を推進し、安全快適な利用の促進を図るための施設整備につき助成する等のほか、保健保安林等を対象として防災機能、環境保全機能等の高度発揮を図る共生保安林整備事業を推進します。また、国民が自然に親しみ得る森林環境の整備を行う「森林空間総合整備事業」等につき助成します。国有林野については、自然休養林等のレクリエーションの森において、森林及び施設の整備等を行うとともに、利用者にレクリエーションの森の整備等への協力を求める「森林環境整備推進協力金」制度を推進します。
 スポーツ施設、保健休養施設等の総合的な整備により、家族等が気軽に自然とふれあえる場を提供する「森林ふれあい基地づくり整備モデル事業」を推進します。また、国民が中心となった森林の整備等の活動の場として「ふれあいの森」の設定を推進するとともに、貴重な環境指標であり、次世代に残すべき遺産として選定した国有林野内の代表的な巨樹・巨木100本(「森の巨人たち百選」)の保護を図るための地域の取組に対する支援を行います。
 森林環境教育、林業体験学習の場となる森林・施設の整備、学校林の整備・活用、民間団体等の企画力や教育手法を活用した山村滞在型の森林・林業体験交流活動や森林体験学習、人材育成等を行うモデル事業を推進するとともに、子どもたちの入門的な森林体験活動を促進する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を実施します。
 森林総合利用施設等において、年齢や障害の有無にかかわらず多様な利用方法の選択肢を提供するユニバーサルデザイン手法の導入を図るとともに、新たに里山林等を活用した健康づくりを行う「健康と癒しの森」推進モデル事業を実施します。国有林においては、フィールドを学校等の体験学習の場として利用できる「遊々の森」の設定を推進します。
オ 独立行政法人国立少年自然の家
 引き続き独立行政法人国立少年自然の家の施設整備及び事業の充実を図ります。
カ 海岸などへのふれあい施設
 自然豊かな海岸づくりを推進するため、海岸事業と治山事業を一体的に行い、海と緑の豊かな海岸環境を確保する白砂青松の創出を実施し、また、自然と共生し、生物の豊かな生息環境を保全・創出するために生物の生息・繁殖場所となる砂浜、干潟等の保全や創出を行う「エコ・コースト事業」を実施します。また、総合的な美化計画の策定や指導員の養成等を中心とする「海と渚の清掃活動推進事業」等を実施します。
キ 河川等へのふれあい施設
 河川の高水敷やダム周辺等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備を「河川環境整備事業」等により行います。カヌーポートや水辺の楽校等の整備により、水辺での活動を促進し、親水レクリエーションの促進を図ります。

(3)エコツーリズムの推進
 国立公園等における地域固有の自然資源等の持続的な利用と地域振興の両立を目指したエコツーリズムの普及・定着を図るため、モデル事業を実施し、エコツーリズムの運営体制づくりを推進するとともに、引き続きエコツーリズムの推進方策の検討を行います。

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