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第3節 

2 農地

 土地改良事業をはじめとする農業農村整備事業においては、環境との調和への配慮の基本方針に基づき、原則としてすべての事業で、調査、計画の段階から、環境との調和へ配慮しつつ事業を実施します。また、環境保全等の公益的機能を発揮させるという観点から適切な形での農地等の維持・形成を図ります。ため池等の周辺において生態系空間(ビオトープ)を保全する事業や生活環境の整備等を生態系の保全に配慮しながら総合的に行う事業等に助成し、農業の有する多面的機能の発揮や魅力ある田園空間の形成を促進するほか、農村地域に存在する生物の情報を調査・データベース化し、生息・生育地での生態系ネットワーク化等、生物多様性を確保するための手法開発を進めます。また、農業生産活動と調和した自然環境の保全・再生活動の普及・啓発を図るため、「田園自然再生活動コンクール」を実施します。棚田で農業生産活動が行われることにより生ずる国土の保全、水源のかん養等の多面的機能を持続的に発揮していくため、棚田等の保全・利活用活動を推進するほか、農村地域の美しい景観や環境を良好に整備、管理していくために、地域住民、地元企業、地方公共団体等が一体となって身近な環境を見直し、自ら改善していく地域の環境改善活動(グラウンドワーク)の推進を図るための事業を行います。
 田園自然再生関連対策として、健全で豊かな自然環境の保全・再生と活力ある農業が調和した美しいむらづくりに向け、地域住民や民間団体等による保全活動と連携した生態系保全型の農地、土地改良施設の整備等を進めます。また、自然環境の維持・形成に資するため、農業集落排水事業を促進するとともに、地域の実情に応じ、特定環境保全公共下水道等の整備を進めます。
 環境保全型農業の一層の推進を図るため、たい肥等による土づくりを基本として化学肥料・農薬の使用の低減を一体的に行う「持続性の高い農業生産方式」の導入を推進し、導入を図ろうとする農業者に対する金融・税制上の特例措置を引き続き講じます。また、面的なまとまりを持った先導的な環境保全対策実践地区の創出、合理的かつ実践的な環境保全に対する技術体系の確立や緑肥を導入した合理的輪作体系による環境負荷の低減等の実証を支援するとともに、環境と調和した持続的な農業生産を維持・推進するために必要な共同利用機械・施設等の整備、ほ場レベルにおける炭素収支や脱窒の測定手法の確立等の推進を図ります。
 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)に基づく家畜排せつ物の管理基準が平成16年11月1日から全面的に適用されることを受け、野積み・素掘り等家畜排せつ物の不適切な管理の解消を図り、水質汚染や閉鎖性水域における富栄養化等の要因とみられる環境負荷の低減に向け一層の取組を行います。このため、家畜排せつ物を適切に管理するための施設整備に対する国庫補助事業等を拡充するとともに、金融・税制上の特例措置等を引き続き講じ、経済活動である畜産業の持続的な展開と環境の保全との両立を図っていきます。
 市街化区域内農地のうち、生産緑地地区に指定されたものについては、緑地としての機能が維持されるよう、適正な保全を図るほか、都市住民の交流の場としての活用を図るため、市民農園整備事業等により市民農園の整備を推進します。

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