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第6節 

3 技術の振興

(1)環境技術の開発支援
 「持続可能な開発」の推進のため、汚染物質等の直接的な処理技術はもとより、資源、エネルギーの効率的利用のための技術等、地球環境の変化を緩和するための技術開発が必要です。また、特定の地球環境問題の解決のための技術が他の環境問題を起こさないよう配慮するとともに、開発途上国の自然的・社会的条件に適した技術の開発を推進する必要があります。
 このような観点から、地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等国際的に対応が必要になっている分野において技術開発を推進するとともに、技術開発体制の整備、充実を図りました(表7-6-4)。



 また、環境政策上対応が急がれる技術の開発を行うため、「環境技術開発等推進費」の「実用化研究開発課題」において、「車載型NOxセンサの実用化とその利用技術に関する研究」等計10課題に対して助成を行い、環境技術の開発を促進しました。
 また、既に適用可能な段階にありながら、普及が進んでいない先進的環境技術の環境保全効果等を、第三者が客観的に実証する事業を試行的に実施する「環境技術実証モデル事業」を開始しました。
 このほか、地方公共団体の環境測定分析機関等を対象として、各分析機関における環境測定分析技術の向上を図る契機とするとともに環境測定分析の信頼性の確保に資する観点から、環境測定分析統一精度管理調査を実施しています。
 平成15年度は、基本精度管理調査(SOx、NOx)と高等精度管理調査(ベンゼン、フタル酸ジエチルへキシル、鉛、ダイオキシン類等)について調査を実施しました。また、ホームページを利用した分析結果回収システムの改善を実施しました。さらに、引き続き極端な分析結果(外れ値等)の原因究明に取り組むとともに、従来の解析・評価に加え、より定量的な解析等を目指して新たな統計処理手法を用いた解析を実施しました。

(2)技術開発等に際しての環境配慮及び新たな課題への対応
 マイクロエレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジー等のいわゆる先端技術を中心とした技術の開発・利用に伴い、発生源、排出形態、影響の面で新たなタイプの環境汚染の可能性が指摘されており、先端技術の産業利用に当たっては、環境面への影響を事前に十分検討して将来環境問題が生ずることがないよう配慮していくとともに、先端技術の成果の環境保全分野への応用を積極的に図っていくことが重要です。
 バイオテクノロジーのうち遺伝子組換え技術については 関係省より公表された実験段階における安全確保のための指針及び産業利用に係る指針に基づき、遺伝子組換え生物等の閉鎖系利用及び開放系利用が行われてきましたが、平成16年2月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」が施行され、本法の下で適切な利用の確保を図っています。組換え植物の利用については、実験室段階で利用後、隔離ほ場試験等を行い、開放系利用における生物多様性に対する安全性の確認が行われています。
 これまで、遺伝子組換え技術等バイオテクノロジーの開発・利用により、環境保全上特段の問題が生じた事例は報告されていませんが、環境省においては、環境への影響についての知見を集積してきました。
 また、農林水産省、経済産業省においては、バイオレメディエーションに関する研究開発等を実施しました。さらに、経済産業省及び環境省においては、非遺伝子組換え生物(微生物等)を用いたバイオレメディエーションに係る安全指針の適切な制度の検討に着手しました。

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