前のページ 次のページ

第7節 

1 野生動植物の捕獲・譲渡等の規制、生息・生育環境の整備等

 種の保存法では、日本に生息・生育する絶滅のおそれのある種を国内希少野生動植物種に、また、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(以下「ワシントン条約」という。)及び「渡り鳥等保護条約」に基づき国際的に協力して保存を図るべき絶滅のおそれのある種を国際希少野生動植物種に指定し、個体や器官・加工品の譲渡し等を規制しています。国内希少野生動植物種については、捕獲や譲渡し等を規制しているほか、必要に応じ、その生息・生育地を生息地等保護区として指定し、各種の行為を規制しています。また、個体の繁殖の促進や生息・生育環境の整備等を内容とする保護増殖事業を積極的に推進することとしており、その適正かつ効果的な実施のために保護増殖事業計画を策定することとしています。
 平成16年3月現在、国内希少野生動植物種としては、哺乳類2種、鳥類39種、爬虫類1種、両生類1種、汽水・淡水魚類3種、昆虫類5種、植物11種の計62種を指定しています。また、国際希少野生動植物種として、約650分類群を指定しています。
 保護増殖事業計画については、ツシマヤマネコ、シマフクロウ等21の計画が策定されています。特に、トキについてはかつての生息地であった佐渡島への野生復帰を目標として事業を推進することが定められました。また、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖事業や調査研究、普及啓発を推進するための拠点となる野生生物保護センターが、平成16年3月末現在8か所に設置されています。
 国有林野においては、希少な野生動植物の生息地又は生育地であり、自然環境の保全に配慮した管理を行う必要のある国有林の区域に、必要に応じて森林生態系保護地域等の保護林を設定するとともに、その保護管理を行いました。また、保護林のネットワークの形成を図るため、緑の回廊を設定し、野生生物の自由な移動の場として保護するなど、より広範で効果的な森林生態系の保護に努めました。平成15年4月1日現在、17か所が設定されています。さらに、ツシマヤマネコ等の国内希少野生動植物種を対象として、その生息・生育環境の維持・整備のために必要な調査事業を実施しました。
 また、絶滅のおそれのある野生動植物種の保存を図るための保護増殖事業、調査等を実施しました(表6-7-1)。


前のページ 次のページ