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第4節 

2 農地

 土地改良事業をはじめとする農業農村整備事業においては、原則としてすべての事業で調査、計画の段階から環境との調和へ配慮しつつ事業を実施しました。ため池等の周辺において生態系空間(ビオトープ)を保全する事業や生活環境の整備等を生態系の保全に配慮しながら総合的に行う事業等に助成し、農業の有する多面的機能の発揮や魅力ある田園空間の形成を促進するほか、農村地域に存在する生物の情報を調査・データベース化するとともに、生息・生育地(農地、水路等の農業用施設、樹林)の生態系ネットワーク化等、生物多様性を確保するための手法開発を進めました。また、農業生産活動と調和した自然環境の保全・再生活動の普及・啓発を図るため、「田園自然再生活動コンクール」を実施しました。
 中山間地域における地域住民活動を通じた土地改良施設や棚田等の保全を推進するための調査研究、人材育成、保全活動等への支援のほか、農村地域の美しい景観や環境を良好に整備、管理していくために、地域住民、地元企業、地方公共団体等が一体となって身近な環境を見直し、自ら改善していく地域の環境改善活動(グラウンドワーク)の推進を図るための事業を行いました。また、自然環境の維持・形成に資するため、農業集落排水事業を促進するとともに、地域の実情に応じ、特定環境保全公共下水道等の整備を進めました。
 環境保全型の農業の一層の推進を図るため、たい肥等による土づくりを基本として化学肥料・農薬の使用の低減を一体的に行う「持続性の高い農業生産方式」の導入を推進し、導入を図ろうとする農業者に対する金融・税制上の特例措置を引き続き講じました。また、この生産方式導入の拠点となる技術確立ほ場や土壌診断施設の整備を進めるとともに、たい肥等を含めた適正使用指針の策定等の地力増進対策の実施を図りました。また、家畜排せつ物等有機性資源のたい肥化・飼料化等による循環利用の促進、緑肥の導入等による効率的な土づくり、消費者・食品産業との連携による安全でおいしい農産物の供給等を図りました。
 市街化区域内農地のうち、生産緑地地区については、緑地としての機能の維持を図るほか、都市住民の交流の場としての活用を図るため、市民農園整備事業等により市民農園の整備を推進しました。

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