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第5節 

3 個別地域における事案

(1)茨城県神栖町
 茨城県神栖町において、旧軍の毒ガス由来の可能性が高い有機ヒ素化合物による環境汚染と健康影響が生じていることを受け、平成15年6月に「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物汚染等への緊急対応策について」が閣議了解されました。
 この閣議了解に基づき、環境省では、神栖町においてジフェニルアルシン酸に暴露したと認められる人たちに対して、健康診査を行うとともに、医療費及び療養に要する費用を支給し治療を促すことなどによって、発症のメカニズム、治療法等を含めた症候や病態の解明を図るための緊急措置事業を実施しています。
 また、環境省は専門家による検討会を開催し、平成15年5月から健康影響の発生したA井戸の周辺において汚染源の特定に向けた調査を進めています。当初予想していたよりも汚染の範囲が広く深かったことからボーリング本数を拡充するなどした結果、16年2月に、A井戸の南東地点のそれまでよりも相対的に浅い位置から極めて高濃度のジフェニルアルシン酸が検出されました。この周辺において汚染源が埋設されている可能性が考えられるため、まずはこの地点で掘削することを決定しています。また、15年11月には汚染源調査の一環として、広範囲での井戸水調査を行い、地下水の汚染範囲はほとんど拡大していないことを確認しています。さらに、A井戸から西方1km離れた地点(B地区)においても汚染源の特定に向けて、既存の井戸水の分析や地歴の調査、ボーリングによる地下水の調査を進めました。

(2)神奈川県寒川町・平塚市、千葉県習志野
神奈川県寒川町で瓶入りの毒ガスが発見された「さがみ縦貫道路」建設予定地については、国土交通省が平成15年2月以降ボーリング調査、掘削調査及び汚染残土と不審物の分離作業等を進めるとともに、毒ガス等の無害化処理を進めるため、処理設備の建設等を行いました。また、神奈川県平塚市の事案については、国土交通省が毒ガスの掘削調査と無害化処理を進めました。寒川町及び平塚市の毒ガスが発見された周辺地域及び千葉県習志野の事案については、公共用地を中心に環境省(習志野の事案については財務省と共同)が、大気、地下水等の環境調査を実施しました。

(3)その他の事案
 環境省において、平成16年1月に地方公共団体の担当者会議を開催し、追加的情報の提供を呼びかけるとともに、順次現地調査を進めました。

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